ブログ、SNSの次は?──Wikiのビジネス利用始まる(2/2 ページ)

» 2007年04月11日 20時40分 公開
[斎藤健二,ITmedia]
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Wikiは“場を用意しただけではダメ”

 ビジネスでの利用が期待される一方で、ブログやSNSと違い、Wikiは“場を用意しただけではダメ”だという課題もある。ブログやSNSは、メンバーが勝手に書き込んで盛り上げ、放っておいても利用されるが、Wikiは「目的がはっきりしていれば非常に強力なツールだが、目的を決めないで導入しても効果がでない」(上野氏)のだ。

 ベリタス・コンサルティングの活動も、この“目的をうまくWikiという場に落とし込む”ことが中心だ。同社のWiki導入は、企業を訪れ、現場の人たちにノウハウを紙に書き出してもらうところから始まる。こうした集まった情報を構造化し、その会社独自のビジネスWikiの雛形を作成する。全く白紙の状態のWikiではなく、各種情報をざっくりとWikiにまとめ上げていくことで、Wiki活用のとっかかりを作るのが狙いだ。

 ある程度の情報がまとまったWikiができあがれば、あとは自然発生的に、社員が情報を修正したり、書き足したりという情報共有のループが生まれる。

 社員の自己紹介ページなども準備する。出身地、趣味など項目だけが書き込まれたページを用意して、各自が自分のページを編集して情報を足せるようにしておく。これによって、Wikiの編集を試してもらうという促しができるというわけだ。

壁となる、Wiki記法

 もう1つ、Wiki導入の最も大きなハードルとなるのが、「Wiki記法」と呼ばれる特殊な入力方法だ。例えば、見出しは「*」、表組みは「|」で区切る──など、構造を示す特殊な記号を交えて文書を書かなくてはならない。

 「Wikiのコンセプトには賛同してもらっても、編集画面がネック。『Wordのような、画面を見たままに編集できる機能(WYSIWYG)が搭載されたら、いつでも買いたい』と言う人が多い」(上野氏)

 PukiWikiをベースとした同社のシステムの場合、現在はWiki記法で書いた文書を、リアルタイムでプレビューできる機能までしか実装されていない。上野氏は「Wiki記法を使うことで、文書が自然に構造化されるなどのメリットもある」と話すが、一般のユーザーにとっては特殊な記法が導入のハードルになっていることも否めない。

ベリタス・コンサルティグでも、MediaWiki(Wikipediaが利用しているWikiプラットフォーム)を使ったWYSIWYG版を開発中だ。左は現在のWiki Note。右は開発中のWYSIWYG版

 また全社的な導入に向けては、権限管理機能の強化も求められる部分だ。同社のシステムは、ページごとにアクセス権限と編集権限を独立して設定できるが、LDAPに対応しておらず企業内のユーザー管理システムとの整合性が取りにくい。

 いくつかの課題はあるが、特定の目的のためにはWikiは強力なツールとして使える可能性がある。欧米では多くの企業がWikiを導入し、一方向の情報伝達ではなく、社員全員の集合知の集積場所として活用している。ビジネス利用促進のための大きなカギとなるWYSIWYG型のWikiも、各社で開発が進行中だ。WYSIWYG型のWikiを提供するベンチャー企業として有名だったJotSpotが、Googleに買収されるなど、Wikiを巡る環境は激変を迎えている。

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