ブログ、SNSの次は?──Wikiのビジネス利用始まる(1/2 ページ)

ビジネスブログ、ビジネスSNSの次として、ブレイクの兆しを見せているのがビジネスWikiだ。企業がWikiを導入する際の注意点はどこにあるのだろうか?

» 2007年04月11日 20時40分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 ブログやSNSといったWeb上のコミュニティサービスを、企業内の情報共有に生かそうという動きが盛んだ。2005年はブログ、2006年はSNSの社内導入が進み、これらはビジネスブログ、ビジネスSNSと呼ばれ、総務省も活用事例の取りまとめなどを行ってきた。

ベリタス・コンサルティグ オープンソースシステム事業部の上野武史サブマネージャー。同社は、J-SOXの対応をWikiを使って進めるシステムを新たに開発。ASP型サービスとすることで会計事務所など外部との連携を容易にした

 これらに加え、最近注目を集めつつあるのが「Wiki」だ。Wikiといえば“誰でも編集に参加できるフリー百科事典”として「Wikipedia」が有名だが、実は社内の情報共有にもブログやSNSとは違った切り口で活用できる可能性がある。

 企業向けWikiとして「Wiki Note」の販売を始めたベリタス・コンサルティングは、「2007年はWikiが企業内で活躍する元年だ」と話す。同社は2007年1月から4月までの数カ月で、すでに数社へのビジネスWikiの導入を行っており、「Wikiのような仕組みを求めている企業が予想以上に多かった」と、同社でWiki Noteを担当する上野武史氏は手応えを隠さない。

 Wikiというと情報システム部内の情報共有など、エンジニアのためのツールというイメージも強かったが、ITリテラシーがそれほど高くない職種にも活用され始めているのが特徴だ。同社が関わった弁護士事務所では、事例や凡例の共有をWikiで行う試験運用を始めた。営業研修を行う企業での導入例としては、営業の商品知識に関する内容をWikiに書き込み、営業ノウハウの共有を行っている。あるセルビデオチェーン店では、本部から支店への連絡にWikiを使い、支店側もコメントを足していくといった利用法を取っているという。

ベリタス・コンサルティグの自社内Wiki。「ここだけは絶対に見る」といったページや、「顧客からの要望」など、共有すべき情報がWikiのページとしてまとめられている

 ブログでもSNSでもなくWiki。そのメリットと運用に当たっての注意点はどのあたりにあるのだろうか。

Wikiと、ブログ、SNSの違い

 ビジネスWikiを説明していく中で、企業から最も多い質問は、ブログやSNS、グループウェアと何が違うのか? ということだ。「フロー型のブログやSNSに比べると、Wikiはストック型。しかも情報の老朽化を防ぐ仕組みを持っている」と上野氏は説明する。

 時系列で情報が流れていくブログやSNSは、メンバー間のコミュニケーションの活性化や、新しいアイデアの創出に向く。一方で業務知識を共有していく場としてはWikiのほうが適している。これまでメールにファイルを添付して回覧していた業務を、Wikiを使って効率化するイメージだ。

 ページを閲覧している最中にワンクリックで編集でき、スピーディに情報の追加が可能。同じページを複数人で同時に編集できるので、メールでファイルを回覧するよりもスピードが向上する。インデックスページが自動生成され、書かれた情報も自動的に構造化されるので、知識の活用がたやすい──こんなことがWikiのメリットとして挙げられる。

 例えば、営業の活動管理ではなく、「どんなトークが響いたか」「どういう切り口で商品を説明したらうまくいったか」といった営業ノウハウを共有する場としては、Wikiが最も適している。まさに自社独自の“ビジネスWikipedia”を作成できるわけだ。

 一方で、Wikiのビジネス活用には、クリアしなくてはならない課題も多い。

昨今のコミュニケーションツールの特徴
ツール メリット
ブログ ユーザー同士のコミュニケーション。自身の知見と第三者の知見を交流させて、イノベーションを生み出すのに適している
SNS “知り合いの知り合い”へのアプローチ障壁を下げ、部門横断など、ユーザー同士のコミュニケーションを活性化させるのに適している
Wiki ある目的に沿ってコミュニケーションさせて、特定のナレッジを構築するのに適している
ベリタス・コンサルティングの資料を基に作成
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