インタビュー
» 2007年05月23日 19時49分 UPDATE

田口元の「ひとりで作るネットサービス」探訪:「弁当の買い出し」でPCの面白さに目覚めた――あとで行く・石原淳也さん (2/2)

[田口元,ITmedia]
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帰国してウノウに転職、「1人でネットサービス」作りを開始

 その頃、シリコンバレーで西川氏と会ってからメールで連絡を取り合っていたウノウの山田社長からメールが届いた。「今度、会社を立ち上げることになりました」。何となく起業を考えていた石原さんはさっそく返信した。「ボランティアでもいいので、何か手伝えることはありませんか?」

 メールのやり取りがきっかけとなり、ウノウに転職。「映画生活」や「フォト蔵」の立ち上げに携わる。「当時は6人くらいだったので、何もかも自分でやりました。開発からサポート、ゴミ捨てもやったし、プレスリリースも書きました。いろいろなことを体験できて、とにかく楽しかったですね」

 ウノウでは開発合宿も行っていた。ある合宿に参加した石原さんは「かなぶん」というネットサービスを開発してリリースした。盤上に並んだひらがなを使って、いくつ単語が作れるのかを競うゲームだ。「それが僕にとって初めての、1人だけで作ったサービスでした」

 実験的なサービスだったが、「かなぶん」は多くのアクセスを集めた。実の弟からは「寝不足になったよ」というメールまで届いた。その経験を経て石原さんは「自分1人でもネットサービスを作れる」と考え始める。

 ウノウは順調に成長し、組織も大きくなっていった。会社が大きくなるに従い、自分でコードを書く時間が減った。会社としての方向性と、自分がやりたいことの方向性にも少しずつずれを感じるようになる。

 「自分でネットサービスを作ってみたい」という思いは日々大きくなっていた。2人の子供を持つ父親として「自分の悩みを解決するようなアプリを作ってみよう」と思い立つ。そこで、仕事外の時間を使ってプログラミングコンテストに応募してみた。

 「週末が近づいてくると、子供たちと『次はどこに行こうか』という話になります。でも、あまり自分にアイデアがなくて、結局近くの公園に落ち着いてしまうことが多かったのです」

 そこで作ったのが「お出かけマペタ」。子供と出かけられる場所と、そこに関する口コミ情報を登録できる。開発にはWeb開発フレームワーク「Ruby On Rails」を使ってみた。

yy_ishihara03.jpg 「お出かけマペタ」の個別施設ページ。Googleマップで表示した所在地と、公式Webサイトのサムネイル、その施設についての詳細情報が掲載されている

 Ruby On Railsは当時注目していた会社「37signals」のサイトで見つけた。デモ映像を見てその効率的な開発スタイルに惹かれ、すぐに関連書を注文して勉強を開始。「やってみたら、驚くほど簡単にアプリケーションが作れました。今ではRuby On Rails以外では考えられないぐらいです。それまで慣れ親しんでいたPHPでの開発は、今ではストレスを感じますね」

 こうして開発した「お出かけマペタ」は見事コンテストで受賞。自信を得た石原さんは独立することを決心し、ウノウを退職した。2006年11月のことだ。個人で開発プロジェクトを受注しつつ、自分でネットサービスを作るため2007年は「ひと月ワンサービス」のリリースを目標にしている。

 この目標の一環が「あとで行く」である。このサービスは「お出かけマペタ」の改善版だ。石原さんに言わせると、「お出かけマペタ」にはまだまだ改善の余地があった。「口コミを登録してもらいたかったのですが、簡単に登録できる仕組みではなかったのです」

yy_ishihara04.jpg 「あとで行く」の個別施設ページ。「お出かけマペタ」にあった地図情報や公式Webサイトに加え、分類(タグ)や最寄駅からの距離などを追加した

 「あとで行く」ではブックマーク感覚で気になる場所を登録できるようにした。また、登録すると自動的に地図情報や関連情報を表示する機能も実装した。

 「おでかけマペタの経験を踏まえ、なるべく簡単に、安心して使えるようにしました。認証ははてなのAPIを活用し、あまりネットに詳しくない妻にユーザビリティテストに協力してもらいました」

 特にユーザビリティテストは、やればやるほど難しさを実感したという。ヘビーなネットユーザーだけでなく、普通の人にも使ってもらいたい。そのためにクリアすべきハードルが数多くあった。

 「まず、妻は『タグ』をまったく理解しませんでした。そこで『分類』と添えることにしました。また最初はGoogle Mapにピンを打ってもらう形にしようと思ったのですが、Google Mapで地図をドラッグするような操作も理解してもらえませんでした。そこで住所から位置情報を取得するジオコーディングを導入しました」

 そうした努力の甲斐もあり、「あとで行く」はソーシャルブックマークでも大きな反響を得る。数多くのブログでも取り上げられ、一時はアクセス過多になった。「まだまだではありますが、簡単に使えるツールを目指して改善していきたいと思います」

「W-ZERO3[es]」を愛用、Googleカレンダーと同期

yy_ishihara05.jpg 愛用している白いW-ZERO3[es]とPCをつなぐケーブル

 「ひと月ワンサービス」を目標として掲げる石原さんはどのような仕事術を実践しているのだろうか。

 石原さんが愛用しているのがウィルコムの「W-ZERO3[es]」。スケジュール管理やWebの閲覧など、モバイルシーンでのすきま時間を活用するのに大活躍だという。特によく使っているのがGoogleカレンダーとW-ZERO3[es]のカレンダーとの同期ができる「GooSync」。これを使うことによって、ネットにつながっていなくても快適にスケジュール管理ができるようになったという。

 W-ZERO3[es]はモデムとしても使うことができるので、出先でネットを使いたいときには重宝している。「そのときにすごく便利なのがこれです。W-ZERO3[es]とPCを接続しながら、同時にW-ZERO3[es]の充電も可能なケーブルです」と言って見せてくれたのが「リトラクタブルケーブル・デュアル for W-ZERO3 [es] 」。

 よく使うWebサービスはGmail、Googleカレンダーに加え、ToDo管理の「Remember the Milk」。自分で設置したWikiも、どこからでも使えるメモ帳として活用しているという。

 達成したいことはブログ「僕は発展途上技術者」に書くことがモチベーション管理だ。「ブログで宣言することにより引っ込みがつかなくなる」という。

 「来月開発するサービスはまだ秘密です」と語る石原さん。「ひとりでネットサービスを作りたい」と会社を飛び出した彼の今後のサービスに期待したい。

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