ブームに乗り遅れた人へ――フラットな人脈作りに「ブログのススメ」デジタルワークスタイルの視点

ブログというと個人的な出来事をつづる日記的なサービスをイメージする人も多いかもしれません。ところがブログを上手く利用すれば、ビジネスパーソンにとって心強い味方になってくれるのです。

» 2007年05月30日 11時23分 公開
[徳力基彦,ITmedia]

 米Technoratiによる調査では全世界で7000万以上あるブログのうち、37%は日本語ブログだといいます(4月6日の記事参照)。

 ブログというと眞鍋かをりさんや中川翔子さんら芸能人ブログのイメージが強いため、個人的な出来事をつづる日記的なサービスをイメージする人も多いかもしれません。ところがブログのトラックバックやコメントといった機能や、ほかのブログとコミュニケーションが発生しやすいといった特性を上手く利用すれば、ビジネスパーソンにとって心強い味方になってくれるのです。

 今回は、ビジネスパーソンがブログを書くとどんな効果があるのかということを、簡単にご紹介したいと思います。

ブログを書くビジネスパーソンのメリット

  • 文字にすることで、思考をまとめることができる
  • 「ブログの会話」に参加できる
  • ブログがパーソナルメディアになる(かも)
筆者のブログ「tokuriki.com

文字にすることで、思考をまとめることができる

 まず、ビジネスパーソンにとってのブログの最大のメリットは、考えを「書く」こと自体によって生まれるメリットです。

 誰でも日々生活をしていると、さまざまな情報や出来事に接しているはず。テレビ、新聞、雑誌にインターネット、皆さんが受け取る情報の量は日々増えていく一方です。では、皆さんはその収集した情報をどれぐらい自分の中で消化できているでしょうか。

 新しい製品に触れたときに感じた驚きや、ちょっとした出来事から思いついたアイデア、悲惨なニュースを見て感じた怒りや悲しみなど、あなたの頭脳にはさまざまの感情や思い付きが次から次へと浮かんでは消えているはずです。

 そんなことをブログに書いてみてください。意外に思うかもしれませんが、思ったことや感じたことを、文章に書き起こすことには大きな価値があります。というのも、文章化には、必ず「考える」ことが伴うからです。文章にするというプロセスを経ることで、ただ思っただけのことも自分の中でより消化できるのです。さらに、思っただけであれば記憶とともに薄れて消えてしまう可能性もありますが、文字にしておけば後で読んで振り返ることも可能です。

「ブログの会話」に参加できる

 次のメリットは「ブログの会話」に参加できる点。米Technoratiの調査によると、全世界の7000万ブログのうち、37%が日本語のブログだといいますから、実に2500万件以上と多くの人々がブログを書いているようです。

 「ウェブ進化論」で有名な梅田望夫さんや本誌「Biz.ID」でも連載を持っているブログ「百式」の田口元さんなど、多くの読者を獲得しているブログがあります。一方、あなたと同じような業界で働く同世代のビジネスパーソンも、個人的な出来事をこじんまりとブログに書いている例も少なくありません。ブログのバリエーションは多種多様といえるでしょう。

 特徴は、ブログを通じて行われる会話は、相手が誰であろうとあくまで対等、すなわち「フラット」である――ということです。実際に話したことがない人でもブログのトラックバックなどの機能を通じることで、誰でも梅田さんや田口さんに自分の意見を伝えることができますし、ひょっとしたらそうした意見に反応してくれることもあるかもしれません。

 この“会話”に参加するには、自分のブログを持つのが最初の一歩です。もちろん、コメント欄を通じてブログの会話に参加することもできますが、ほかのブログとフラットに会話をしたければ、やはりブログを持つことがお勧めです。この感覚はブログをやってみないとなかなか伝わらないかもしれませんので、ぜひブログを試してみてください。

梅田望夫さんの「MochioUmeda.com
田口元さんの「百式

ブログがパーソナルメディアになる(かも)

 最後のメリットは、ブログのメディア的要素です。ここでいうメディア的要素はいわゆるマスメディア的なものでなく、「パーソナルメディア」と表現したほうがいいかもしれません。

 ブログを書き続けていくと、いつのまにか自分のブログが単なるメモ帳ではなくなる瞬間があります。初めは自分のために書いていたものが、読者のためになることがあるのです。あなたが書き溜めたアイデアの数々が、誰かのビジネスのヒントになるかもしれませんし、あなたが書き溜めた思いの数々が、日々誰かのやる気を支えているかもしれません。こうしてブログが、顔の見えるリアルな会話以上のものになっていくわけです。

 プロの記者やライターに比べると、あなたの文章は確かに荒削りで分析が足りないところがあるかもしれません。ですが、あなたの実感や実体験に基づいた情報が誰かの役に立つことも多いのです。

 そんな形であなたのブログを読む人が増えていくと、もはやあなたのブログは単なるコミュニケーションツールではなく、インターネット上でのあなたを表現するパーソナルメディアになっていきます(4月24日の記事参照)。あなたが寝ている間にもブログを読んであなたのことを知ってくれる人や、共感してくれる人が増えていくかもしれないわけです。

 インターネット以前、個人がそんなメディアを持つことは難しいことでした。まして、会社に所属する普通のサラリーマンにとっては、不可能に近いことだったはずです。でも、今はブログを使えば誰でもパーソナルメディアを持つことができるようになっており、自分はサラリーマンだから関係ないなんて思うのは、ちょっともったいない話です。

 もちろん、これ以外にもブログを書くことによるメリット・デメリットがありますので、次回以降、連載を通じて紹介します。というように、ここまでいろいろと書いてきましたが、なんと言ってもブログはほとんど無料。とにかくまだ試してない方は一度試してみるといいでしょう。

筆者プロフィール 徳力基彦(とくりき・もとひこ)

NTT、ITコンサルを経て、現在はアリエル・ネットワーク株式会社プロダクト・マネジメント室マネージャ。ビジネスパーソンの生産性向上のためのソフトウェアの企画・開発やコンサルティング業務に従事するほか、グループウェアやブログ、仕事術などに関する執筆・講演活動を行っている。ブログは「ワークスタイル・メモ」と「tokuriki.com


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