「ハードワーカー」と「悩めるビジネスパーソン」からの脱却──『レバレッジ・シンキング』5分で読むビジネス書

あなたは、忙しく成果も収入も乏しい「悩めるビジネスパーソン」ですか? 成果も収入もそれなりにあるものの、時間の自由は乏しい「ハードワーカー」でしょうか。

» 2007年09月20日 11時16分 公開
[大橋悦夫,ITmedia]
表紙

本田直之『レバレッジ・シンキング』(東洋経済新報社刊)

 わたしも自己啓発書を読むのは好きで、良い本に出会うと、仕事仲間や友人に勧めるのですが、そうした中で、自己啓発書を読んでも、成果が上がらない人がいることに気づきました。

 

 その理由は、マインドが高まってもパーソナルキャピタルを増やす努力をしないから、思うような成果が上がらないのです。マインドは資産ではありませんので、残念ながら空回りしてしまうのです。思い切り車のアクセルを踏んでいるのに、「労力」「時間」「知識」「人脈」というタイヤが四つとも外れているために、前に進んでいないのです。(p.28)


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 ベストセラー『レバレッジ・リーディング』『レバレッジ時間術』に続く、レバレッジシリーズの第3弾。前2作はそれぞれ「知識」と「時間」という個別の要素技術を扱ってきたが、本書はさらに「労力」と「人脈」の2つを加えて、成果を上げるための4つの「パーソナルキャピタル(自分資産)」として統合、その方法論を俯瞰的な視点で解説する。

 本書では、繰り返し「レバレッジをかける」という表現が登場するが、その意味するところは、著者のモットーとする「Doing more with less(DMWL)」、すなわち、「少ない労力と時間で大きな成果を獲得する」という姿勢であり、先に挙げた4つのパーソナルキャピタルは、それぞれレバレッジをかける対象となる。

 冒頭で引用した通り、パーソナルキャピタルがタイヤなら、マインドはエンジンということになるだろう。つまり、前進するための「やる気」である。そういう意味では、本書で紹介されている、パーソナルキャピタルを構築し、成果を上げていくための数々のテクニックや考え方は、「やる気」の有無に左右されないものといえる。逆にいえば、「やる気」がなくても、その方法にさえ従っていれば、成果を上げることができるわけだ。

 1つ1つ見ていこう。

  • 「労力」のレバレッジは、仕組み化と習慣によって、迷ったり考え込んだりするというロスを未然に防ぐ
  • 「時間」のレバレッジは、時間割を作って時間を仕切ることで1つ1つの自己投資の密度を高める
  • 「知識」のレバレッジは、ゼロから学ぶのではなく、前例のエッセンスに集中する
  • 「人脈」のレバレッジは、お互いが相手に貢献できる何かを持ち寄ることで、マインドを高め合う

 いずれも、放っておけば流れていってしまうものを意図的に押しとどめ、圧縮し、それを一気に解放したときに生まれる弾力を推進力に変えていることが分かる。

 なお、本書ではビジネスパーソンを以下の4つにタイプ分けしている。

  タイプ どんな人か
A レバレッジ・シンカー 少ない労力で人の何倍もの成果と収入を得ながら、時間的な余裕もある
B ハードワーカー 忙しいが成果も収入もそれなりにあるものの、時間の自由は乏しい
C 悩めるビジネスパーソン 忙しい割に、成果も収入も乏しい
D 自由人 暇で時間はたっぷりあるが、成果も収入も乏しい

 

BOOK DATA
タイトル: レバレッジ・シンキング
著者: 本田直之著
出版元: 東洋経済新報社刊
価格: 1523円
読書環境: ×書斎でじっくり
△カフェでまったり
◎通勤でさらっと
こんな人にお勧め: 「ハードワーカー」と「悩めるビジネスパーソン」。

 いうまでもなくAの「レバレッジ・シンカー」が本書が目指すところだが、放っておくとBの「ハードワーカー」やCの「悩めるビジネスパーソン」に甘んじてしまいがちだ。そこで、これを打開するヒントになるのが「アクティブ(能動的)に行動する」という姿勢。

 例えば、テレビを生で見るのではなく、一度録画しておき、空き時間に必要な部分だけを見る「アクティブ・ウオッチング」や、繰り返し発生する仕事について仕組み化する「アクティブ・ルーチン」を心がけることだ。

 日々の仕事において、あなたが不足を感じているのはどのパーソナルキャピタルだろうか。気になるものを1つだけピックアップし、一定期間集中してそのレバレッジのみに注力するのも1つの方法だろう。

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