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» 2007年10月03日 00時40分 UPDATE

対応必至──メタボリックシンドローム:メタボリックシンドロームにどう取り組む?

2008年度から「特定検診・保険指導」が医療保険者に義務付けられることもあり、企業からもその予防や対策について注目が寄せられている「メタボリックシンドローム」。社会的にも話題となっているためご存じの方も多いと思うが、実際に健康を考える際の1つの尺度として、改めてその意義や対策について見ていこう。

[SOS総務]
SOS総務

 メタボリックシンドロームの診断基準が日本肥満学会、日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会など、内科系8学会によりまとめられたのは、約2年前の2005年4月。これにより、「内臓脂肪」が生活習慣病の発症といかに密接な関係があるのかが明確にされた。

 メタボリックシンドロームは、「内蔵脂肪症候群」とも呼ばれており、内臓脂肪型肥満によって、さまざまな病気が引き起こされやすくなった状態をさす。腸間膜や肝臓にたまる内臓脂肪からアディポサイトカインという物質が分泌され、これが高血圧や糖尿病、高脂血症を引き起こすというのだ。

診断基準と新たな施策

 メタボリックシンドロームは「内臓脂肪」が大きな要因とされているため、その診断には、ウエストサイズが必須項目となっている。その基準値には諸説あるようだが、現在、日本国内の基準値とされているのは、男性で85センチ、女性で90センチ以上。これに血清脂質異常、血圧高値、血糖高値の3項目のうち2項目以上に該当すると、メタボリックシンドロームと診断される(図表1)。

図表1:メタボリックシンドロームの診断基準
項目 基準
必須項目 ウエスト周囲経 男性:85センチ以上
女性:90センチ以上
選択項目 1:血清脂質異常(右のどちらかまたはその両方に当てはまる場合) 中性脂肪値(トリグリセリド値):150mg/dl以上
HDLコレステロール値:40mg/dl未満
選択項目 2:血圧高値(右のどちらかまたはその両方に当てはまる場合) 最高血圧(収縮期血圧)130mmHg以上
最低血圧(拡張期血圧)85mmHg以上
選択後項 3:高血糖 空腹時血糖値110mg/dl以上
※必須項目に該当し、かつ選択項目のうち2項目以上該当する場合、メタボリックシンドロームと診断される

 また、「肥満」「高血圧」「高血糖」「高脂血症」の危険因子を1つ持つ人は心臓病の発症リスクが5倍、2つで10倍、それ以上併せ持つ場合には31倍にもなるとされている。40〜74歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人が、メタボリックシンドロームが強く疑われる者、または予備群と考えられるという調査結果(平成17年国民健康・栄養調査/厚生労働省)もあるなど、ここ数年、国としての対策も急務とされてきた。

 来年度から医療保険者に義務付けられる「特定検診」と「保険指導」はこのような背景から生まれた施策で、これまでの健診が個別疾患の早期発見・早期治療を目的としているのに対して、「予防」に焦点を当てているのが特徴といえる。また、メタボリックシンドローム対策として、「腹囲の測定」が健診に新しく取り入れられるほか、リスクのある対象者に早期介入をし、対象者に行動を変えさせることを目的とした「保健指導プログラム」も新たに導入される。つまり、我われ個人にとっては、これまで以上に健康リスクを回避できるチャンスが増えるというわけだ。

企業としての取り組みは?

 一方、「メタボリックシンドローム」という指標を導入することは、企業の健康管理にも役立つことは間違いない。たとえば、今まではコレステロール対策、糖尿病予防、ダイエットといった具合に、個別の疾病に対してそれぞれ違った指導をしていたのが、メタボリックシンドロームという考え方によって、予防的な部分(具体的には内臓脂肪型肥満予防)でまとめて指導することができるようになる。

 また、新たな指標を取り入れたからといって、必ずしもメタボリックシンドロームの指導だけを特別に行わなければならないというわけではない。「メンタルヘルスや過重労働の問題で産業医や保健師が社員と面談する機会を作っている企業なら、そこでメタボリックシンドロームの指導も行えばいいことです。太らない生活習慣というのは健康な生活習慣とほぼイコールですから」と指摘する専門家もいる。

 たとえば、これまでメンタルヘルスなどの観点から語られることの多かった「過重労働」についての取り組みも、メタボリックシンドローム対策となる。つまり、「残業になれば、夕食が遅くなる → すると食べてすぐ寝ることになり、太りやすくなる」と考えれば、「残業が少なくなって健康的な生活を送ること=肥満対策」にもつながるというわけだ。このように、多様な機会を捉え、ほかの取り組みと並行した対策を取ることで、社員の健康対策だけではなく、生産性の向上やCSR対策など、さまざまな相乗効果を生み出す可能性があるのだ。

 前述の通り、特定健診や保険指導は企業に直接義務付けられたものではない。しかし、これらの施策に社員が積極的に取り組んでいけるように環境を整えていくのは、企業にとっての大きな役割の1つといえるだろう。各健保や産業医などとの協力体制を整え、社員の健康リスクの回避にぜひつなげていきたいものである。

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