レビュー
» 2007年10月16日 11時05分 UPDATE

5分で読むビジネス書:『仕事を加速する技術』──あなたの仕事が前に進まない3つの理由

頭脳労働者にスポットライトを当て、それをコンピュータのメカニズムになぞらえる形で、仕事が遅くなる原因と、その解決法を探る。

[大橋悦夫,ITmedia]
表紙

梅津信幸『仕事を加速する技術』(ソフトバンククリエイティブ刊)

 コンピュータで、仕事の実行が何らかの原因で遅れることを「ストール」と呼ぶ。このストール状態をできるだけ減らすことを目指して、現在のコンピュータはひたすら発展してきた。

 コンピュータに比べると、人間は頭脳労働をしている間に、実によくストールする。そのうえ、人間には、さんざん迷ったあとで「先送り」という選択肢がある。たっぷり1時間悩んだあとで、「やっぱり来週に時間が取れそうだから、来週にしよう」などとなる。

 これは、来週にデコード段階からまた時間が繰り返され、1つのことに時間を二重に消費することになる。これによって、仕事のスピードがぐっと下がってしまう。(p.32)


3

 表紙のイラストに「How to Accelerate Your Brain Work」という英語タイトルが刷り込まれているとおり、本書は頭脳労働に徹底的にスポットを当てた書籍だ。頭脳労働ならではの特徴や強みや弱みを理解したうえで、これを仕事のスピードアップにうまく役立てる──そのための考え方と具体的な方法が解説されている。

 特筆すべきは、コンピュータのメカニズムになぞらえる形で、人間の頭脳労働のメカニズムを解明し、遅くなる原因を突き止め、そこから加速していくための方法論を導き出している点である。冒頭で引用したのは、仕事が遅くなる原因について言及した箇所だ。

 キーワードとなるのが「デコード」。意味するところは、「仕事において何が求められているかを、自分の頭で理解する段階」である。どんな仕事でも、具体的に何をするのかを理解していなければ手のつけようがない。「まずデコードありき」なのだ。例えば、タスクリストを眺めて、「よし、これをやろう」と決めた直後に頭の中で行われる“処理”がデコードである。

 また、デコードした結果を保存しておくことで、次回以降に同じような作業をする際のスピードアップに役立てることができる。例えば、次のようなケース。

  • 年賀状ソフトで、どう設定したら綺麗に印刷されるか
  • 報告書では、どういう項目について重点的に評価したらよいか
  • 確定申告書のこの欄の金額は、こうやって計算する

 どんな仕事でも、初めての場合は時間がかかってしまいがちだが、2回目以降は上記のような初回のデコード結果を保存しておき、これを活用することにより、スピードアップを図ることができるわけだ。

 「キャッシュ(メモリ)」という言葉をご存知の方ならピンとくるかもしれない。コンピュータで一度開いたデータをHDDではなく、読み込みの速いキャッシュメモリに置いておくことで、次回以降の読み込みの際のアクセス時間を短くできるのだが、デコード結果を保存しておくことは、このキャッシュメモリの考え方を応用していることになる。

 著者は「頭脳労働が前に進まない三大要因」として、次の3つを挙げている。

  1. 二重、三重にデコードしている
  2. 見積もりのしかたを知らない
  3. 常に先送りしている

 1と3についてはすでに触れたので、2の「見積もりのしかたを知らない」について見ていこう。

 ある仕事にかかる時間を可能な限り正確に見積もるにはどうすればいいか? そのための唯一の方法は、仕事のログ取りをする、すなわち「仕事を進めながら、その情報を記録していく」ことだ。頭脳労働の中身は人によって千差万別であり、能力も人それぞれなので、「あなたの見積もりの材料に使えるのは、あなた自身のデータだけ」ということになる。つまり、自分の仕事のスピードを把握することが正確な見積もりの第一歩となるわけだ。

BOOK DATA
タイトル: 仕事を加速する技術
著者: 梅津信幸著
出版元: ソフトバンククリエイティブ刊
価格: 1575円
読書環境: ×書斎でじっくり
△カフェでまったり
◎通勤でさらっと
こんな人にお勧め: 「なるほど!」が口癖になっている人。

 日々のあなたの仕事を振り返り、本書で紹介されている「遅いやり方」をしていないかを確かめてみよう。「いつもこのやり方だから」というだけの理由で同じやり方を繰り返していないだろうか。

 あるいは、「なるほど」と思える考え方や、やり方に出会えたなら、興奮が冷めないうちにそれを実際の仕事に取り入れよう。「分かっちゃいるけど……」という言い訳が出てくる前にとにかく始めてしまう。こうすることで「ストール」する時間を削減することができるはずだ。

 「なるほど!」と思った瞬間、すでにデコードは始まっている。

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