中越沖地震やカリフォルニアの山火事に見る“オンラインサービスで救う命”

サンディエゴなどで数万ヘクタールが被災した、米カリフォルニア州南部での山火事。設備も被災し、満足に放送できない地元メディアはオンラインサービスに活路を見出したという。

» 2007年10月30日 22時51分 公開
[鷹木創,ITmedia]

 10月21日、米カリフォルニア州南部で発生した山火事。サンディエゴなどで数万ヘクタールが被災した。Googleによれば「放送するための施設が被災したため、地元メディアも苦戦している」とのこと。だが、オンラインサービスなどを駆使して“放送”しているというのだ。

Googleマップ、Fliclr、Twitterを駆使する地元メディア

 たとえばGoogleマップ。サンディエゴの地元局KPBSでは、Googleマップをカスタマイズする「マイマップ機能」を利用して、火災の状況や避難施設を伝えている

 同局では自社のブログやWebサイトでも被災地の状況を伝えているほか、被災地の写真を画像共有サイト「Flickr」で公開したり、独り言公開サービス「Twitter」で速報を伝えたりと、自社内外のサービスも総動員。まさに“総力をあげて”の報道体制をとっているわけだ。

Flickr(左)やTwitter(右)でも情報提供している

国内でも同じような動き

 国内でも同様の動きがある。新潟県で発生した中越沖地震でもGoogleマップの活用例があった。こちらはメディアによる利用ではないが、NPO法人国際ボランティア学生協会とレスキューナウが協力して作成している。

 メディア企業でも東京のUHF局・東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)が、番組宣伝にTwitterを利用したことがある。視聴者との相互にやり取りできる双方向性や口コミ的な伝播力は、テレビや新聞といった従来のメディアを補完する可能性もあるわけだ。

 なお、国内で地図上に投稿できるサービスはGoogleマップのほかに、Yahoo!JAPANの「ワイワイマップ」やALPSLABの「ALPSLAB base」、インクリメントPの「MapFan ココメモ」などが利用できる。また、Googleマップではこれまで英語圏向けに提供していたプロフィール機能を日本語版にも搭載。マイマップを作った人は、自分のプロフィールを入力・公開できるようになった。


 Webサイトを通じて、草の根的に情報が集まる動きはこれまでもあった。それがGoogleマップやFlickrといったオンラインサービスを活用することによって、テキスト情報だけでなく地図情報や写真といったより表現力のある方法で、現地の情報を伝えられるようになっている。

 “放送と通信の融合”というと話が壮大になってしまうが、実は草の根レベルでは着実に、しかも夢物語ではなく実際に役に立つかたちでの“融合”が始まっていると言えそうだ。

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