新年1発目の当記事内で方向音痴をカミングアウトした子羊記者。記事執筆にあたり今度はペンをめぐる旅へと出かけた。そこで見つけたものとは……?
2008年01月29日〜2008年02月04日
コンパクト4色ペン、クルクル回せるペン、そして速く書くためのペン。先週はペン関係の記事が3つもランクイン。“書く”という一番身近な行為に欠かせないだけに耳目を集めている。
新年1発目の当記事内で方向音痴をカミングアウトした子羊記者こと筆者は今回、4色ペンの記事を執筆したが、それに先立ち今ドキのボールペン事情を探ろうと発奮。ペン売り場への小旅に出かけることにした。行脚することコンビニ3軒、文房具店1軒の計4軒。そこにはめくるめく一“本”入魂の世界が待ち受けていた。
特徴 | メーカー | 商品名 | 価格 |
---|---|---|---|
天然木のぬくもり | オート | 「木軸ニードルボールペン」 | 294円 |
ぷにゅぷにゅした触感 | 三菱鉛筆 | 「ユニ アルファゲル(スリムタイプ)」 | 840円 |
フル装備の“合体ロボット” | パイロット | 「フィードホワイトライン」 | 525円 |
人間工学に基づくトルネード | ゼブラ | 「ニュースパイラルCC」 | 630円 |
花のアロマがやさしく香る | パイロット | 「ドクターグリップCLアロマ-アジアエッセンス-」 | 500円 |
ポッキーみたいに細身 | パイロット | 「ハイテックCスリムノック」 | 210円 |
天然木を使い、木のあたたかみを打ちだしたペン。ゲル状に施された持ち手がぷにゅぷにゅと、触りごこち抜群の癒されペン。本体の上部に修正ペンを、下部に3色ペンをフル装備した“合体ロボット”のようなイカツいペン。人間工学の専門家お墨つきの、持ち手がトルネード状になった変形ペン。アロマの香りつきの、花を想起させる赤いボディのペン。ポケットサイズの手帳にも軽く収まりそうな、ポッキーさながらの細身ペンなどなど、まるでペンの博覧会会場に迷い込んだよう。実に多種多様なボールペンが、一畳にも満たない狭小スペースに所狭しと並んでいたのだ。
シチュエーション別、用途別のこれらペン自体の個性に少なからず衝撃を受けた筆者は、店を巡るにつれ、徐々にペンそのものよりたった1本のペンに賭ける作り手たちの想いに圧倒されていく。そして4軒すべて回り終えるころには、すっかり打ちのめされていた。
ボールペンに限らずペン全般について告白すると、筆者は学生時代から線引き用に色ペン(トンボ鉛筆「Dual Brush Pens-ABT-」262円)を愛用してきた。店頭にあまり並んでいないせいもあって、数本ストックを常備しているほど線引き用ペンには強いこだわりがある。だが文字を筆記するためのペンとなると、機能や書き心地には正直こだわりがなかったからだ。あるとすれば、なるべく替え芯を使って同じペンを使いつづけることくらい。今、愛用しているものは10年は使っていて、まだ替え芯がある。ただしそれ以前に、わざわざ自分で買わなくても、公私問わず度々いただいたペンだけで、すでに一生分使いきれないほどの本数になっていたからだ。
この子羊的ペン事情の上に、自らの手で筋肉を動かし筆を書き進める行為をする機会が激減。PCや携帯への入力作業という最新の“ペン”がとって代わった。それで余計、筆記ペンと疎遠になっていったのだ。前者の理由は極私的だが、後者はライフスタイルのIT化上、誰もが思い当たる節があるのではないだろうか。
ペンは書ければいい程度の低い意識しか持ち得なかった人間が、初めてその奥深さに覚醒した今回の旅。そのキッカケは仕事だ。だがキッカケはなんであれ、どんなに小さくともやはり旅はいい。新風が自分の中に入ってきたことで細胞の一部まで入れ替わり、なんだか新しい自分になれたような気がするからだ。
そしてそんな小さな旅が積み重なって1日となり1週間となり1カ月、1年、3年、5年……と、まるでミルフィーユのように豊かな多層をなし、やがて人生という1つの旅が完成されるのかもしれない。これを読んでいるあなたも、今まで気にも留めなかった身近な何か1つを巡る小さな旅に出かけみてはいかがだろうか。そこには必ず、思いがけない発見がある。
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