「もっとプレスリリースを出せばいいのに」――「BlurHighlight」岩本流攻めのアプローチひとりで作るネットサービス(1/2 ページ)

たとえいいサービスを作っても、人に知られなければ存在しないに等しいという岩本さん。形をリアルタイムに確かめながらボタン画像を作れる「As Button Generator」、画像をハイライト加工する「BlurHighlight」などを作っては、国内外に“プレスリリース”を送ってきた。その目的や展望とは?

» 2008年08月08日 09時56分 公開
[田口元,ITmedia]

 1人で作るネットサービス第30回は、リアルタイムで形状を確認しながらボタン画像が作成できる「As Button Generator」や、画像の一部を簡単にハイライト加工する「BlurHighlight」を作っている岩本次郎(いわもと・じろう、26歳)さんに話を聞いた。「サービスを作ったから満足――では終わりたくない」という岩本さん。彼がネットサービスを作る際に、気を付けていることについて教えてもらった。

「だから、みんなもっとプレスリリースを出せばいいのに」

 「サービスを作っても、それがみんなに知られないことには、存在しないのと同じだと思います」。岩本さんはそう話す。SI企業に勤めて2年ほどたったころ、自分でも何かネットサービスを作ってみようと思い立った。幾つかのサービスを作ってはみたが、「びっくりするぐらいアクセスがありませんでした」

 そこで岩本さんは考えた。世の中で知られているサービスは、自分のそれとどこが違うのだろうか。まずはみんなに知ってもらい、評価してもらわないといけない。よく知られるサービスはそもそも有名人が作っている。さもなければ、有名ブロガーと知り合いの人のものではないだろうか――。岩本さんはこう思い至った。「自分は有名じゃない。だったら有名なブロガーに積極的にアプローチしなくちゃだめだ」


「BlurHighlight」で岩本さんの写真を加工中

 その時、スクリプト言語のActionScriptの勉強がしたくて作ったネットサービスがBlurHighlightだ。アップした画像の一部をぼかして、簡単にハイライト加工できる。このサービスをもっとみんなに使ってもらおうと思い、初めてブロガー向けに“プレスリリース”を出してみた。

 「運良く、ある有名なブロガーが取り上げてくれました。“見てもらえている感”がとにかくうれしかったです」。はてなブックマークでも反響があった。「これは便利」「使ってみた」「おもしろーい!」といったコメントが次々と寄せられたという。

 「取り上げられる以前は、サービスを作って完成したら満足でした。でもそれでは多くの人に使ってもらうことはできません。使ってもらうにはまず知ってもらう必要があり、知ってもらうきっかけの1つに、有名ブロガーに“プレスリリース”を出す方法があります。だから、みんなもっと“プレスリリース”を出せばいいのに、と思います」。ブロガーに取り上げてもらう方法を覚えた岩本さんは、次に作った「恋文判定器」でも、同じようにリリースを送ることにした。


「恋文判定器」

 「恋文判定器」は確率論の定理である「ベイズ理論」を勉強するために作った。ベイズ理論は迷惑メールフィルターなどにも使われており、その仕組みがどうなっているかが知りたかった。職場でそういう話をしていると、同僚の1人が「じゃあ一緒にやってみようか」と言ってくれた。2人で理論を勉強し、与えられた文章のラブレター度を推測するというサービスを作ってみた。デザインは付き合っている女性に手伝ってもらったので、3人の合作だった。

 「取り上げてもらう確率をより高めるために」合作者である女性の名前でリリースを送るという工夫もした。女性の名前の方がメールを読んでもらえるはずだ、と思ったのだ。案の定、今回も取り上げてもらうことができた。ソーシャルブックマークでもある程度の反響があった。しかしもっと多くの人に使ってもらいたい、と思うようになっていた。

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