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» 2008年08月16日 10時02分 UPDATE

シゴトハッカーズ:本から必要な情報をくみ出す方法【チュートリアル編】

せっかく読んだ本。その内容を自分の身にするにはどうすればいいのか? 対談編に続き、実践的読書法を解説します。A、B、C、Dに対応した手法を紹介しましょう。

[大橋悦夫、佐々木正悟,ITmedia]

 忙しいビジネスパーソンにとって読書に使える時間は限られています。だからといって、多くの本を手当たり次第に読みついでいくのは、費用対効果の面で疑問符がつきます。ここでいうところの「費用」とは、お金ではなく時間。本を読むのにかけた時間分の、あるいはそれ以上の効果を得ることを目指したいものです。

 →対談編はこちら

 そのためには、本を読む前に、その本からどんな情報を引き出したいのか、あるいは自分の行動のどのように改めたいのか、といった目的を明らかにしておくことが欠かせません。

 目的が明確になれば、あとは行動あるのみ。次の2つのアプローチが考えられます。

  1. 目的に沿わない個所は読み飛ばすことで、時間コストを下げる
  2. 目的に沿う個所はじっくり読み、必要なら時間をおいて読み返すことで効果を引き上げる

 つまり、おいしくないところは徹底的に食べないようにするか、おいしいところだけを重点的に食べるか、ということです。今回は後者のアプローチについて具体的な方法をご紹介します。

思考の中断を防ぎながら「パンくず」を落としていく

 本を読みながら「ここは重要だ」とか「後でやってみよう」と思った個所があれば、後から読み返すことができるように目印をつけておくことです。いわば「パンくず」を落としていきます。方法としては次の3つがあります。

  1. ペンで傍線を引く
  2. ページの角を折り返す
  3. つめで跡をつける

 該当個所に線を引いてしまうのが最も分かりやすい方法ですが、手元にペンがない場合は、ページの角を折り返すといいでしょう(この方法は、犬の耳が垂れるさまに似ていることから「ドッグイアー(dog ear)」と呼ばれています)。

 さらに、そのページを折り返すきっかけとなった行を後から知るために、ページの角をその行を指し示すように折ると探す手間が省けて便利です。

 あるいは、以下のように該当行の上部につめで傷をつけるという方法もあります。これとドッグイアーとを組み合わせることで、同じ見開きページ内に複数の「後から読み返したい」個所あるケースにも対応できるようになります。

ks_readbookb1.jpg 折り返した角がページ内の「なるほど!」個所を示すようにする
ks_readbookb2.jpg 「なるほど!」個所につめで傷をつけている

「パンくず」を回収しながら重要な個所を見極める

 このようにして、「パンくず」を落としながら一度最後まで通読し終えたら(あるいは、目次から読むべきと判断したページに目を通し終えたら)、「パンくず」を1つ1つ回収していきます。やるべきことは次の3つです。

  1. 折り返したページを開く
  2. 次に何をすべきかアクションを決める

 大切なことは、読んでいる過程でキャプチャー(捕捉)した「ここは重要だ」とか「後でやってみよう」といった取っかかりを放置しないことです。せっかく落としたパンくずも放っておけば「トリ」たちに食べられてしまうでしょう。つまり、「なぜこのページを折ったんだっけ?」ということになってしまうのです(実際、トリは3歩あるくと忘れるといいますし)。

 具体的には、以下のような基準で分類していきます。

基準 内容 名称
A 期限を決めた上ですぐにやってみる アクション
B 期限を決めた上で、話すべき人を1人決めて話す ブリッジ
C 期日を決めた上で寝かせる(もう一度吟味したい場合) キャリーオーバー
D なかったことにする ドロップ

 Aは、本を読んで行動を変えることを意味します。紹介されている考え方や方法に従ってみるのです。その際、期限を決めることが重要です。普段使っているタスクリストに組み込んでしまうといいでしょう。さもなければ、「いつかやろう」ということで、結局やらずに放置されてしまいかねません。

 Bは、チーム内でぜひその内容をシェアしたい、と思える人に話して聞かせる(橋を架ける)というアクションです。定例ミーティングのレギュラー項目にするのもいいでしょう。最近読んだ本のうちチームメンバーにぜひ聞かせたいという内容を発表する、という時間を設けるようにすることで、読書のモチベーションを引き上げる効果も期待できます。

 Cは、すぐには行動は起こせないが、引っかかるのでもう少し寝かせて様子を見たい場合です。これについては期日を決めて、リマインダーをセットすることで、確実に実行されるようにしておくといいでしょう。

 Dは、あらためて読み返してみたら、たいしたことはなかった、という場合です。

 今回ご紹介した分類基準はあくまでも筆者のものですので、読者の皆さんはぜひご自身の環境や目的に合わせてカスタマイズしてみてください。

 ちなみにA〜Dは、それぞれAction(やってみる)、Bridge(人との間に知識の橋を架ける)、Carryover(持ち越す)、Drop(捨てる)の頭文字になっています。

筆者:大橋悦夫

大橋
ks_ohashi.jpg

1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタルハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』、近著に『成功ハックス』がある。

筆者:佐々木正悟

佐々木
ks_sasaki.jpg

心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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