第16回 情報量は少ない方が考えやすい実践! 専門知識を教えてみよう(4/4 ページ)

» 2008年08月19日 11時30分 公開
[開米瑞浩,ITmedia]
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自分で考える姿勢を持っていた2人の意外な共通点

 今回は「割り箸マドラー」というくだらない話から始めましたが、「欠乏を明確に意識し、解決しようとすることから人は自分で考え始める」という事例としては、実はこんなくだらない、身近な些細な問題で十分なんです。

 先日、私と同じように研修講師をしている友人と一杯飲んでいたときのこと、この「自分で考える力」が話題になりました。なんとかその「自分で考える」ことができる人材を育てたい、という話をしているうちに、私とその友人の思いがけない共通点がわかりました。それは、

  • 2人とも、成人前の小学校〜高校あたりまでの時期に、
  • 手近なガラクタ廃材を使って役に立つ道具を作ってしまう習慣があった

 というものです。買うお金がないからやむを得ずそうしていたのですが、結局それが「足りないものは自分で作る。作るための方法を考える」という基本姿勢を生み、現在役に立っているのだから不思議なものです。

 だから、「割り箸マドラー」のような些細なものでも十分です。「欠乏」を感じたときこそ「考える能力を磨く」チャンスなのです。自分が学ぶときには「代用品を考えて」みてください。

 教える側であれば、学習者に「考えさせる」ための明確な「欠乏点」を用意しておきましょう。些細(ささい)な、くだらないことでも、意外に「考える」材料になるものですよ。最後に“些細な練習問題”を用意しておきましたので、試しにどうぞ。

練習問題

 あなたは客先の家庭を訪問したところです。帰るときに靴を履こうとして「靴べらがない」ことに気がつきました。さて、困りました。そのお宅には靴べらがない様子です。どうしますか?

(解答は掲載しません。「考えて」みるだけで、それだけでいいのです)

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筆者:開米瑞浩(かいまい みずひろ)

 IT技術者の業務経験を通して「読解力・図解力」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。2008年は、「専門知識を教える技術」をメインテーマにして研修・コンサルティングを実施中。近著に『図解 大人の「説明力!」』


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