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» 2008年08月22日 15時40分 UPDATE

なぜ陥る? 「うつ」のメカニズム:未来が見えない――「考えすぎてうつ」をどう克服する? (1/3)

この先給料が上がるとは限らないし、自分がどこまで通用するかも見えない。もし管理職になれば毎日が午前さま。本当に仕事を続ける意味があるのか? でもそれを考える時間もない……。先行き不安からうつに陥ったら、どう脱却すればいいのでしょう?

[平本あきお(構成:房野麻子),ITmedia]

 うつや不安症などには、大きく5つの発症パターンがあります。このパターンに気付き、的確に対処することで、気分がラクになることもあります。そこで今回は、精神症状の5パターンとそれぞれの対処法について紹介します。

生物学上、物事への対処、対人関係――原因はそれぞれ

 米国では、一般的に精神疾患、いわゆるうつや不安症などには、大きく3つの要因があると言われています。生理的要因、心理的要因、そして社会的要因です。

 生理的要因とは、生物学上の要因を指します。脳に代謝異常があるなどの内的代謝異常や、身体的な損傷や外傷です。こういったことが原因で、うつや不安になる時があります。これは、盲腸だからお腹が痛いのと同じことです。一概には言えませんが、生理的要因による精神疾患には、薬物や場合によっては手術など身体に働きかけるアプローチが必要です。

 つまり、「精神の」疾患とはいっても、そのすべてが心理的なものが要因で発症するわけではありません。とはいえ実際には、心理的要因、または社会的要因による精神疾患が多いです。

 心理的要因では、ある課題に対してストレスを感じて症状が起きます。

 例えば、中学校まで学年一勉強できた子が、進学校の高校に入学していきなりビリになり、ほかの子たちがずっと先に進んでいるのを見て気持ちが落ち込んだり、この学校でやっていけないんじゃないかと不安になったりする、というような場合です。もしくは、会社でいきなり部署が変わったことが引き金となって、心理的なストレスになる場合もあります。

 人生の中で、仕事やプライベートで何か課題ができた時に、対処しきれなくなって起きる精神的な問題は心理的要因と言えます。

 社会的要因については、世の中という意味の社会というより、対人関係といった方がいいかもしれません。英語では、生理的、心理的、社会的要因の3つを、それぞれ「Bio(バイオ)」「Psycho(サイコ)」「Social(ソーシャル)」と表現します。Social、つまり社会的とは人間関係なしには成立しません。

 例えば、うつ状態の時は夫が非常に優しくしてくれる。あるいは、不安そうにしていると、会社の同僚が心配してくれる。もしくは、うつ状態になると、行きたくない飲み会で嫌なつきあいをしなくて済む、といったようなパターンがあります。そして、このパターンには、相手を引き寄せたいというパターンと、反対に遠ざけたいというパターンがあります。

 生理的要因に関しては、精神科医の診断に基づき適切な処方を受け、すべてではありませんが、薬物治療が必要な場合もあります。一般的に、西洋医学では生理的要因の精神疾患に対しては、精神安定剤や抗うつ剤などの向精神薬を与えます。薬は生理的要因の症状に関しては効きます。

 ただ薬物治療は、心理的要因、対人的要因の症状に対しては、トイレがくさい原因は、便器に通じるパイプが汚れているせいなのに、芳香剤を置くようなものです。上っ面だけは一時的に止まります。しかし、根本的な治療にはなりません。

 ここではこの心理的要因、そして対人的要因による精神疾患の5パターンのことと、各々への対処例について、順を追ってお話ししていきます。どうしてうつや不安にになるのか。その原因が分かれば対処法が見えてくるかもしれません。

話のスタンスと「うつ」の定義

 本題をお話しする前に、次の2点について簡単に説明しておきます。

お話しするスタンス

 あくまでも一般の人に向けて話します。厳密な意味で言うと、多少、正確性を欠くところもあります。しかし、正確に話すよりは、あえて砕いて話して、皆さんが認識しやすくなる方がいいと判断して進めていきますので、ご了承ください。

記事内の「うつ」の定義

 仕事で失敗したりして落ち込んだり、大事なプレゼンの前に「失敗するかしれない」と思い、不安になったりするのは、よくあることですね。うつは、このように症状の軽いものから重いものまであります。そしてこれらの症状は、生理、心理、対人関係的な原因のどれか、もしくはその複合で起こります。

 生理的要因だと症状が重くなるかといったら、そういうわけではありません。生理的原因でよくあるのが、疲労です。身体が健康だったら、そこまで落ち込まないけれど、非常に疲れている時に難問が出たら、すぐ落ち込んだり不安になったりしますね。

 また、心理的な問題なら症状が軽いかと言えば、これもそうとは言えません。非常にヘビーなものもあります。ですから生理、心理、対人的要因は、この要因は症状が重く、あの要因は症状が軽い、ということではないのです。

 ですから、今回は3つの要因をあえて分けずに、精神疾患に関して、大きく概要をつかんでいければ――という意図でお話しします。


 それではさっそく見ていきましょう。

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