ほめても叱っても部下は育たない部下をやる気にさせて育てる指導術(1/3 ページ)

「どうしてもほめられないんですよ」「どうしても叱れないんですよ」――。実はほめなくても、叱らなくてもいいんです。では、どうやって部下を指導し、育てて行くのでしょうか。

» 2008年09月08日 08時30分 公開
[水野浩志,ITmedia]

 ビジネスの本質とは相手を喜ばせることにあります。前回も、売り上げや利益などの単なる数値目標ではなく、「相手の喜びを目標に設定する、という感情目標を作ってみましょう」というお話をしました。また、部下が人を喜ばせるためには、まずあなたが部下を喜ばせられなければいけない、ということも伝えました。では、今回は、部下が喜びやる気になる指導方法について考えてみましょう。

現場に見る部下の指導、2つの悩み

 部下育成の研修などで上司の方たちと話をすると、必ずといって良いほど上がってくる話題が、部下をほめて育てるか、それとも叱って育てるかというものです。

 40歳以降の管理職で比較的多いのは、「どうしても部下をほめられないんですよ」と私に訴えてくる方。「いろいろなところで部下をほめろと教えられるのだけれども、どう逆立ちしたって今の部下はほめられるほどの実力もないし、成果も上げてこない。これでどうやってほめたらいいんでしょう?」と詰め寄ってきます。

 挙げ句の果てに「本当に部下をほめなきゃ育たないんですかね? 私なんか、ほめられて育った記憶なんてないんですけど」と、自分の過去を持ちだしてきて「ほめなくてもいいよ」という言葉を求めてきます。

 ですから、私は言うんです。「ほめなくてもいいですよ」と。「ほめたって部下は育ちませんから」と。

 逆に、部下や後輩を持つ30代の方たちなどで多いのは「どうしても部下を叱れないんですよ」という悩み。「いろいろなところで、人の上に立つ人間は、優しさだけでなく厳しさも必要だ、と言われるので、たまには部下を叱ろうと思うんですが、なかなかうまく叱れないんですよ」と泣きついてきます。

 挙げ句の果てに「本当に叱らないと部下は育たないんですか? 私だったら、叱られたら絶対にやる気をなくすんですけど……」とかぼそくつぶやき、「叱らなくてもいいよ」という言葉を求めてきます。

 ですから、私は言うんです。「叱らなくてもいいですよ」と。「叱ったって部下は育ちませんから」と。

 そう、実はほめたり叱ったりすることで部下が育つなんてことはないのであります。

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