あなたの会社は、3つの事業を持っています。1つめは家電部品分野で第2位、2つめは建築資材分野で第5位、3つめは化学製品分野で第8位――。さて、どの事業に投資しますか?
どこに経営資源を集中させるか?
あなたの会社は、3つの事業を持っています。1つめは家電部品分野で第2位、そこそこ利益をあげています。2つめは建築資材分野で第5位、利益はほぼゼロです。3つめは化学製品分野で第8位、赤字が続いています。
さてあなたは、どの事業に投資していきますか?(複数回答可)
経営は限られた経営資源(人、物、金、情報)で、投資対効果を最大化する活動です。限られた経営資源をどの事業に優先的に配分するかは、経営者にとって最大の意思決定です。
(1)の第2位の投資強化は、最優先すべきでしょう。業界ナンバーワンを目指すための戦略を早期に策定すべきです。(2)(3)の下位の業界を放置するわけにはいきません。優先順位的には、(1)→(2)→(3)です。(4)の今までの方針を継続では、今と何も変わりません。どれか1つ選ぶとすれば(1)です。
限られた経営資源を活用して収益を上げるためには、選択と集中が不可欠です。選択とは、勝ちを取りに行く領域を選ぶことです。選ぶということは、同時に選ばれなかった領域も存在することを意味します。戦略とは、やるべきことを決めると同時に、やらないことも決めます。
集中とは、経営資源を集中することです。経営資源を集中して、確実に勝ちを取りに行きます。できればナンバーワンを目指します。
選択と集中に差別化を加えると、3S(選択−差別化−集中:すべてサ行)となり、戦略の極意になります。勝ちを取りに行く領域を選択して、他社と差別化を考えて、経営資源を集中させてナンバーワンを目指します。
なお、個人に3Sを適用することもできます。自分のプロ分野を選択して、他の人にない魅力ある特徴や個性の発揮を意識して、その分野でナンバーワンを目指すのです。
なぜナンバーワンなのか。ナンバーワンを目指すという決意を持つことで、目標が明確になります。個人の資源は、時間とお金です。限られた時間とお金をどこにどう使うかは、個人の大切な戦略です。
岡山市生まれ、大学教授、経営コンサルタント。1982年東京工業大学経営工学科大学院修士課程終了。富士写真フイルムを経て、1990年に日本総合研究所に移り、主任研究員として民間企業のコンサルティング、講演会、社員研修を多数手がける。2003年より芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科教授。専門分野は、MOT(技術経営)、プロジェクトマネジメント、経営戦略、戦略的思考、論理思考、図解思考。
主な著書に、『経営戦略のトリセツ』『よくわかるプロジェクトマネジメント』『図解する思考法』(日本実業出版社)、『戦略構想力が身につく入門テキスト』『論理的な考え方が面白いほど身につく本』『論理的な文章の書き方が面白いほど身につく本』(中経出版)、『戦略思考トレーニング』『論理的な考え方が身につく本』『論理的な話し方が身につく本』(PHP研究所)、『スピード仕事術』『戦略経営に生かす兵法入門』(東洋経済新報社)、『脳を鍛えるやさしいパズル』(成美出版)など、約60冊。
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