樋口流青春18きっぷ使い方樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」(2/2 ページ)

» 2008年09月18日 18時00分 公開
[樋口健夫,ITmedia]
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勉強しっぱなしで8時間が3時間に!?

 さて先週の連載で、青春18きっぷで旅行中に発想をノートに書いてアイデアマラソンをしたり、NHKラジオの英会話を聞いていたりしたと書いたことにいくつか感想をいただいている。中でもはてなブックマークのコメントで、「(青春18きっぷを使って)鈍行で旅行しても車中では英語の勉強って何か凄い矛盾してるんだけど」とあったことに、筆者なりの考えをお伝えしたい。

 筆者が、青春18きっぷで旅行する時、たいていは1〜2時間ごとに乗り換えをはさむ。最終的には7〜8時間の旅行をすることになるのだが、鈍行の乗り換えはあんまりのんびり休んでもいられないのである。ではどうするか。寝るのもいいが、1〜2時間ごとに起きなくてはならないので寝過ごすのが心配だ。心配になると安心して眠れないし、これは起きているしかない。

 しかし、まったく何もしないで、じっと座席で両手を膝の上に置いているのも芸がない。何やら悪いことをして反省を強いられているようだ。7時間が15時間にも20時間にも思えてくる。

 そこで、アイデアマラソンなりNHKラジオなり、車中でやる勉強をいっぱい用意しているのである。忙しいのなんのって、そのために車中で時間が過ぎるのが非常に速いのだ。

 2時間なんて、勉強に打ち込めば半時間のように感じるほどだ。時には集中しすぎて乗り過ごす。ここまでくると、眠って乗り過ごすのを防ぐのに起きていたはずなのに、本末転倒になってしまう。筆者は携帯の振動アラームをセットして勉強に励む。

 片道8時間の鈍行の旅でも、いろいろなことに集中していると、体感時間は3時間程度になってしまうから不思議だ。もちろん勉強しっぱなしは疲れるから、途中の車中から見るべき景色を見つつ、疲労を癒す。そしてこの方が最終的な疲労は少ないのである。


 何年か前、オーストラリア人の学生が筆者宅にホームステイした時のこと。彼に青春18きっぷで、東京から京都まで旅行するように勧めた。その時に彼に課したのは「どの列車でも座席に座ったら、必ず両側の人に話しかけて、あいさつすること」だった。彼は、それを実行した。両隣りになったすべての乗客に話しかけた。かたことの日本語で、

 「ワタシはオストラリアじんです。ガクセイです。コンニチは」

 これだけしか日本語を知らなかったのだ。隣のおばあさんも最初は仰天したが、車両には英語を話す人が誰かいるもの。コミュニケーションできると分かれば、おばあさんもサラリーマンもうれしくなって、さまざまなことを話す。しまいにはお菓子やまんじゅうが飛び出したという。

 「こんな素晴らしい列車旅行は、生まれて初めてです。青春18きっぷは最高でした!」と彼は学校への報告書に書いていた。

樋口流「青春18キップ」有効活用5つのポイント
1 座っていく工夫をすること。始発電車と次の電車を待つなど
2 時刻表は必携。時刻表に慣れること。土日休日の列車や時刻に注意
3 トイレが大切
4 まわりの乗客と仲良くなること
5 寝てばかりいたら、それこそ、青春18きっぷの良さは分からない。景色も楽しもう

今回の教訓

乗り鉄、旅鉄というより、学鉄(がくてつ)、いやコミュ鉄(コミュニケーション鉄)か?


著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら


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