自動車部品を製造している西沢工房。業績好調な同社では、5億円の研究開発費を投資して浄水器を開発しました。成長分野として期待していたにもかかわらず、全く売れません。なぜ売れなかったのでしょうか。
自動車部品を製造している西沢工房は、業績好調です。しかし、業績好調に甘んじていては、将来の成長への努力を怠ってしまいます。勝って兜の緒を締めよ。
そこで西沢工房は、5億円の研究開発費を投資して、浄水器の新製品を開発。成長分野として、高い期待を持っていました。しかし販売してみると、全く売れません。
なぜ売れなかったのか、想像してみよう。(複数回答可)
「こんなにいい製品を作ったのになぜ売れない」というのは、多くのメーカーの悩みでしょう。いくらいい製品を作っても、その存在を消費者が知らないとか、販売チャネル(販売網)がなければ売れません。マーケティングの基本を外した新製品といえます。この会社の場合、消費者向けの販売チャネルも知名度もないので売れません。
(1)の製品の設置、(2)の製品の価格が高すぎた、(3)の販売ルートがうまく確保できなかった、(4)の広告宣伝費に予算を確保できなかったの全ては、マーケティングの基本を無視した対応です。回答例は(1)(2)(3)(4)です。
マーケティングとは、売れるしくみを作ることです。マーケティングは、ターゲット顧客に対して、4Pで売れるしくみ作りを考えます。
4Pとは、製品(Product)、価格(Price)、販売チャネル(Place)、販売促進(Promotion)です。4Pのどれ1つうまく機能しなくても、売れるしくみは作れません。
製品とは、種類、品質、デザイン、特徴、ブランド名などです。製品には無形のサービスも含みます。
価格とは、低下、値引き、表示価格、クレジット販売の可否などがあります。価格で大切なのは値ごろ感です。製品から得られる満足度に対して、高すぎても安すぎても売れません。値ごろ感が大切です。
販売チャネルは、製品を顧客に届けるまでの一連の流通網・販売網です。販売点の立地、品揃えなどがあります。
販売促進は、広告や営業活動です。製品の存在と魅力を顧客に伝達する営業活動です。
岡山市生まれ、大学教授、経営コンサルタント。1982年東京工業大学経営工学科大学院修士課程終了。富士写真フイルムを経て、1990年に日本総合研究所に移り、主任研究員として民間企業のコンサルティング、講演会、社員研修を多数手がける。2003年より芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科教授。専門分野は、MOT(技術経営)、プロジェクトマネジメント、経営戦略、戦略的思考、論理思考、図解思考。
主な著書に、『経営戦略のトリセツ』『よくわかるプロジェクトマネジメント』『図解する思考法』(日本実業出版社)、『戦略構想力が身につく入門テキスト』『論理的な考え方が面白いほど身につく本』『論理的な文章の書き方が面白いほど身につく本』(中経出版)、『戦略思考トレーニング』『論理的な考え方が身につく本』『論理的な話し方が身につく本』(PHP研究所)、『スピード仕事術』『戦略経営に生かす兵法入門』(東洋経済新報社)、『脳を鍛えるやさしいパズル』(成美出版)など、約60冊。
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