ほかの人の作品は見ません――「武器ジェネレータ」ららぴまさんひとりで作るネットサービス(1/3 ページ)

「自分の内側からわき出てくるものをカタチにしたい」と話す、ららぴまさん。「武器ジェネレータ」「相関図ジェネレータ」など、オリジナリティあふれる多くのジェネレータを生み出してきた。その強いこだわりや、独自の世界観に迫る。

» 2008年11月05日 12時30分 公開
[田口元,ITmedia]

 ひとりで作るネットサービス第34回は「武器ジェネレータ」や「相関図ジェネレータ」など、オリジナリティあふれるネットサービスを数多く生み出している、ららぴまさん(30歳)に話を聞いた。「誰ともかぶらないものを作りたい」「ほかの人の作品を参考にしない」と強く主張するららぴまさんが目指す世界はどういったものだろうか。

生成過程まで楽しめる「武器ジェネレータ」で名を馳せる

 「本当にオリジナリティのあるジェネレータを追求したかったのです」。名前を入れると自分がどんなタイプの武器かが分かる「武器ジェネレータ」を作った理由を、ららぴまさんはそう話す。

 「そのころはいろいろなジェネレータが出回っていました。しかしその中には数十種類のパターンからランダム、もしくはある一定の規則で結果が選び出されるだけのものもありました。それは厳密には『ジェネレータ』ではないと思います。結果にオリジナリティがあって、その生成途中の様子も見られるようなものが作りたかったのです」

 「武器ジェネレータ」では、入力した名前を武器っぽいシルエットにモーフィングしていく計算をする。武器っぽいシルエットに至るまでの過程を97%あたりで止めることによって、微妙な形状の違いを出している。しかも、刻一刻とモーフィングしていく様子を見ることも可能だ。自分の名前が大胆かつ精妙に「世界で1つだけの自分の武器」に変形していく美しさを楽しむことができる。


(左)武器ジェネレータのトップ画面。フォームに「げん」と入力すると、「げんの杖」というオリジナルの武器が出てきた。(右)「げん」が武器へと形を変えていくモーフィングの様子

 制作期間は約1カ月間。最初は「武器ジェネレータ」ではなく、自分の名前がモンスターのシルエットに変形していく「モンスタージェネレータ」だった。ただ、作ろうとしていた時に、友人が武器をあしらったTシャツのショップを立ち上げたため、「じゃ、武器にしよう」と思い至ったという。

 生成される武器には、名前と攻撃力も与えられる。友人と試してみて「俺の方が強い武器だな」といった楽しみ方もできる。また最近は、作った武器同士で戦う様子を観戦できる「武器バトル」も作ってみた。将来的には、ここで作った武器を使って遊べるような、もっと高度なゲームの構想もあるという。「より強い武器を求めてもっとたくさんジェネレータを使ってくれるような、良い循環が生まれればいいな、と考えています」

武器ジェネレータなどを作るために考案したさまざまな図。取材用に印刷してきてくれた

「いつかは起業」を胸に、ジェネレータを作り続ける

 この武器ジェネレータをはじめ、ららぴまさんが作ったネットサービスはすでに20を超える。その多くは雑誌やニュースサイト、テレビなどで取り上げられている。彼がこうして次々にサービスを作ろうと思い至った経緯とはどういったものだろうか。

 初めて触れたPCは中学校の時のNEC製PC-9801 RX21だった。絵が好きだったららぴまさんは、PC-9801を起動すると立ち上がるN-88 BASICを使ってCGの基礎を学んだ。ほかのソフトには目もくれなかった。「実を言うと、ほかのソフトがあるということさえ知らなかったのです。PCを立ち上げるとBASICになったので、PCとはそういうものだ、と思い込んでいました」

これがららぴまさんが高校のころ使っていたポケットコンピュータ、カシオ計算機の「Z-1」

 高校に進学するとポケコンを使ってゲームを作る毎日だった。授業中も膝の上にポケコンをのせてひたすらプログラミングをした。クラスの仲間は、ららぴまさんがゲームを作っている間は「オタクだ、オタク」とはやしたてたが、ゲームが完成すると「コピーさせて!」と寄ってきた。

 「楽しいものを作ってみたい。いつかは自分で起業してゲーム会社を経営してみたい」。ららぴまさんを突き動かしていたのは、その一心だった。「アクション、シミュレーション、RPG、ほぼすべてのジャンルのゲームを作りましたね」。一度、学校でも有名だった不良学生が近寄ってきて握手を求められた。「僕が作ったRPGがクリアできてうれしかったようです。彼、今、どうしているのかなあ」

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