自分の学びを定着させるためには、学んだ内容を人に教えるとよい、というのはよく聞く話。「成果を出す仕事をする」ことを部下に教えるためには、どんな点に気をつければいいのでしょう。
前回は「6つのレベルで自分の習得度を正しく把握する方法」をお伝えしました。おかげさまで多くの方たちに読んでいただけたようです。はてなブックマークにもたくさんのコメントがあり、それぞれとても興味深いものがありました。
今回は、その中の1つにあった「『人に教えることができる』も重要」というコメントについて、掘り下げて考えてみたいと思います。
自分の学びをきちんと定着させるためには、学んだ内容を人に教えるとよい、という話を聞いたことがある人も多いでしょう。確かに、「人に教える」には、自分の学びや考えなどを他人にも理解できるようにきちんと整理する必要があります。
しかし、中途半端な習得レベルにいる人が、中途半端な状態で人にものを教えてしまうと、教わる人と教える人のどちらにとっても不幸になりがち。単なる知識や情報の伝達ならともかく、仕事で成果を出さなければいけないような内容を教えるに当たっては、やはりまずはご自身で結果を出せるような習得レベルに達することを目指してほしいと思います。
では結果を出す能力が身についた人は、みんなきちんと人に教えられるのか――というと、これまたそういうわけではないわけですね。「本気さが足りない」「もっと真剣にやれよ」といったようなつかみ所のない精神論を語る人もいれば、やり方に対して細かく指示を出していく人もいますが、いろいろ言う割にはきちんと教えられていない人が結構多いようです。
ビジネスにおいて学びを人に伝える場合、最初に押さえておかなければいけないのは、この連載のタイトルにもあるように「成果を出す仕事をする」ことです。つまり、教わる側の人間に対して単なる知識情報を伝達するのではなく、まずはその学びによってきちんとした成果を生み出せるように教えることを認識しておかなければいけません。
では、きちんとした成果を出すためには、どういったことを教えなければいけないのでしょうか。一番始めに伝えるべき重要なポイントとは、
ということ。何のためにこの仕事をしているのか、なぜこの仕事をきちんと成立させなければいけないのか――という点を明確に伝える必要があります。これをきちんと伝えた上で、次に伝えるべきなのは、
の2点だと私は考えています。
組織におけるビジネスとは駅伝のようなもので、川上から川下までの全行程を自分1人で完結できることはまずありません。ですから、中間部分を受け持つ人間が、前のランナーから最高の形でたすきを受け取り、そして次のランナーへ最高の形でたすきを引き渡すことが必要です。人に教えを説く場合も、何をやるべきかだけではなく、やるべきことの前後の流れも教えるべきなのです。
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