ビジネスは駅伝――部下に何を教えるべきか?3分で読める! 隣のヤツより成果を出す勉強術(2/2 ページ)

» 2009年02月03日 21時01分 公開
[水野浩志,ITmedia]
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人に教えを説く前に確認しておくべきこと

レベル 思わず口に出る言葉 説明
第1レベル 知らない→「へー、知らなかった」  知らない情報に触れると自然とこういった言葉が口をつきます。「知らなかった」と思った人は、第1レベルの「知らない」という状態だということが分かります。まあ、これは分かりやすい話ですね。
第2レベル 知る→「それは知ってるよ」  知っている情報に触れると、たいていこういったリアクションが出ます。しかし、もしそれより上のレベルに達している人であれば、安易にこういったリアクションを起こしません。つまり、情報に対し「知ってるよ」というリアクションを取ったということは、まだ理解しているところまで至っていない可能性が非常に高いと思われます。
第3レベル 理解する→「それは分かっているよ」  触れた情報に対して「分かっているよ」とリアクションを取る人は、知っているより上のレベルに入るのですが、しかしまだ完全にその情報を活用して結果を出すところまでに達していない可能性が高いでしょう。
第4レベル 行動する→「やったよ」  ここまでレベルが上がってくると、習得レベルはかなり高くなっていると思われます。ただ「やったよ」という言葉だけだと、過去数回程度しか実行していないのかもしれません。それに、その結果が自分にとって期待するほどのモノではなかったということも見て取れます。

 しかし、結果を出せる能力を身に付けるためには、行動を起こすだけでは難しいことがほとんどです。ということで、こういうリアクションを取った人は、次のレベルに取り組む必要があると思われます。
第5レベル 試行錯誤を繰り返す→「やってはいるんだけど……」  この状態は、触れた情報に対して複雑な感情が芽生えている状態です。本人も納得して実際に取り組んでいるものの、結果が伴わない状態。しかし、真の能力を身に付けるまでには、こういった試行錯誤のプロセスは、必ずついて回ります。ですから、納得できる情報に基づいて試行錯誤をしているレベルは、もうすぐゴールにたどり着ける一歩手前だ、と考えるようにしてみると良いでしょう。
第6レベル 結果を出す能力が身につく→「そうなんだよねえ」  自分自身が試行錯誤を経て、きちんと結果を出す力を身に付けている人は、その情報に触れると、「知ってるよ」「解ってるよ」「やってるよ」といったような醒めたリアクションを取ることは少ないです。むしろ、十分理解し、実践しているがゆえに、その情報に対して深く同意するというリアクションを起こすのです。

 実は、前章に上げた3つのポイントをきちんと教えることで、教育のほぼ7割くらいは終わったようなもの。そこまできちんと教えられたら、ゴールの設定や、ゴールするための具体的方法は、むしろ当人に考えさせることも可能です。そうした方が当人にとっての血肉になるんですよね。

 ところが、部下指導などがうまくいかない、という人の話を聞いてみると、たいていこの3つのポイントを部下達に教えず、先ほども上げたように、つかみ所のない精神論や小手先のテクニック伝授にエネルギーを注いでしまっています。

 いったい何でそうなってしまうのか。さらに詳しく聞いていくと、実は、当の本人達も、仕事の目的や仕事の前後の流れが、きちんと分かっていない。また、分かっている人も、具体的に説明できるようにきちんと言語化、明文化しているかというとそうでもないようなのです。

 これでは、人に自分の学びを教えるどころか、自分自身の現状の学びすら、曖昧になっていることになってしまっています。前回上げた修得度の第6レベルには、この「目的」と「仕事のつながり、流れ」を明確に理解していないと、到達できないでしょう。

 もしあなたが、第6レベルに達していないのであれば、ここで上げた押さえておくべきポイントをきちんと押さえているかどうか、もう一度確認してみて下さい。でなければ、人に教えを説いて学びを深めようとしても、本質がずれた状態での学びを深め合ってしまうことにもなりませんからね。

 その上で、もう一度自分の習得レベルを測り直すとともに、人に教える行為を行う際は、まずはやり方などの些末(さまつ)なことを教えるのではなく、その仕事に取り組むに当たって重要な3つのポイントをきちんと伝えてあげて下さい。

 なぜなら、人に教えて自分が学ぶことの本当の意味は、小手先テクニックを伝えることではなく、大切なことを他人に理解してもらえるように自分自身を磨くことなのですから。

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著者紹介 水野浩志(みずの・ひろし)

 マイルストーン代表取締役。「社会に活き活きと働く大人たちを生み出す」をスローガンに掲げ、リーダーシップやモチベーション創造、自己表現力養成をテーマにした企業研修や公開セミナーを実施。また研修・セミナー講師向けに、具体的な成果を生み出す効果的なカリキュラムの構築手法や講師としてのマインド、人間力創りの指導も行っている。現在、日刊(平日)で、メールマガジン「1回3分でレベルアップ! 相手の心を掴むトーク術」を発行中。


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