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» 2010年02月23日 14時48分 UPDATE

研修に行ってこい!:あなたがプレゼンを恐れる本当の理由――ビジネスシーンで“メダリスト”になる

自分の仕事の価値を問われるプレゼンテーションは、ビジネスシーンにおける競技会とも考えられます。ここぞというときにメダルを獲得するために、どんなステップを重ねていけばよいのでしょうか。

[原田由美子,Business Media 誠]

 オリンピックも後半戦に入ってきましたね。応援するわたし達は一足飛びにメダルを期待しますが、試合経過や選手のインタビューを見ていると、メダルというのは選手が元々持っている資質に加えて、日々の練習の質と量、試合経験の豊富さ、タイミングをつかむためのメンタルトレーニングの集大成として獲得できるものなのだと感じます。

 どの選手も、どのチームもメダルを目指しているでしょうが、現実に世界トップクラスの成果を出せるのは、その中でもほんの一握りだけ。とはいえ、メダルを取れても取れなくても、自分の力をすべて出し切った選手というのは、すがすがしい表情でカッコいいですよね。

 今回は、ビジネスのシーンで“いい表情”になるためのヒントを、人前で話すトレーニングの場面を通じてご紹介していきます。

ビジネスシーンの競技会?

 社内会議や客先への提案、展示会やビジネスイベントなど、自分や所属する組織のアイデアの採否を問われるプレゼンテーションは、ビジネスシーンにおける競技会と位置づけられるかもしれません。

 予算を取るのが厳しいビジネス環境において、アイデアが採用されるか否かは組織運営上の大きな分かれ目となってきます。そのため多くの場合、予算というメダルを取れそうな人にプレゼンテーションを任せきってしまい、それ以外の人は応援役になり、結果的に「人前が苦手」のままの人が多いようです。

 実際、40代になるわたしも、人前が苦手という気持ちはあります。

 しかし、最近ある考え方をするようになってから、こうした苦手意識は少しずつ薄れてきました。今回はわたし自身の経験を、「成長を妨げる要因とその克服」としてまとめてみました。

成長を妨げる要因

 素晴らしいプレゼンテーションやスピーチを行う上司や先輩、ビジネスパートナーであるコンサルタントや講師を見ていると、「自分はあんな風には話せない」と感じます。

 まして、彼らの前で話すなんてとんでもない。適材適所という言葉があるように、話すのが得意な人に話をしてもらえばよいのだし、自分はそれ以外のことに注力すれば、それがWin-Winの関係になると、ずっと思っていました。

 しかし、年をとるにともない、立場や役割が変化してくると、人前で話す機会を避けて通れない状況が増えます。「人前が苦手」という気持ちを抱えたまま話す状況というのは、本当につらいことです。これを何とか克服したいと考え、なぜそのように思うのか掘り下げてみることにしました。

 掘り下げてみて気づいたのは、「失敗したくない自分」「へたくそだと思われたくない自分」「明確な責任から逃れようとしている自分」といった、自分に意識が向いている、カッコつけたがっている自分の姿でした。

 言い方を変えると、人から評価や批判を受けることを回避したい気持ちがどこかにあり、その気持ちをごまかすために「自分は話すのに向いていない」と思うようになっていた事実に気づいたのです。

克服の第一歩

 このことに気づく前は、人前で話す機会があると「嫌だな〜」「誰か代わってくれないかな」「うまく話せないのにどうしよう」といった、マイナスの考え方や感情ばかりが沸き起こっていました。練習をしても、人前で話すのが上手な人と自分を比較して自分の足りないことばかりに意識がいき、あれもできていないこれもできていないと、マイナス面ばかりを探しては落ち込みます。

 自分に自信が持てない状態のまま人前に立つと、心拍数があがり頭は真っ白に。早く話し終えたい気持が行動に出るため、早口で話が聞き取りにくくなります。

 いかがでしょう? これでは誰が見ても、いい結果が生まれにくい感じがしますよね。

 さてそのようなわたしが、自分自身に意識が向いていることに気づいたことで、大きな変化を迎えつつあります。ここでそのポイントをご紹介します。

 最初に取り組んだことは、「カッコよく話す」のをやめることでした。

 コンサルタントや講師と自分を比較すると、人前に出ることそのものが嫌になります。それよりも、「聞いてくれる人は、何に興味があるか、何を聞きたいか」に意識を向けることにしてみました。すると、不思議なことに苦手なことを克服する為に必要な次の3つのことが自然とできるようになってきました。

  1. 現状を正確に把握する(何が必要で、何が必要でないかを知る)
  2. 目的を達成する上で必要なことを見極める
  3. 取り組む手順(優先順位)を決める

 「聞き手」を意識した上で3つのことを整理し取り組み始めると、自分のことが気にならなくなり、人前に出ることが苦でなくなりました。あれだけ嫌だったのが嘘のようです。これだけでも、自分にとっては大きな変化ですし、まずは第1歩として喜ぶことにしました。

 その上で現在は、話す技術や話す内容について1回1回テーマを設定して取り組んでいます。この考え方を図にしましたので参考にしてみてください。

ts_hrd.jpg

 毎回テーマを持って取り組むと、それ以外でダメな部分があっても、自分が決めたテーマのところがクリアできていればよしと考えられるようになるので、少しずつ自信がついてきます。小さなことであっても、仕事で達成感が持てていると、自然と表情も明るくイキイキするようです。

 成果という意味では、現状ではまだまだですが、1年後、3年後、5年後をイメージすると、話せるようになることのメリットは大きいでしょうし、努力のしがいも感じます。

ステージが違っても

 オリンピックとビジネスシーン、ステージは違いますが、惜しくもメダルを逃した上村愛子選手(フリースタイルスキー女子モーグル)がブログにつづったメッセージに共感を覚えた方も多いはず。

 メダルという形の成果にはちょっと届かなかったけれども、この4年間で自分の苦手な部分を克服し、順位を上げたことは間違いがありません。選手としての今後がどうなるかは別として、上村愛子さんという一人の人としての今後には、今以上に期待が持てる気がしませんか?

 わたし達も、1つ1つの仕事の場面で、自分の力を全て出し切りながら、すがすがしい表情が増やせるように努力していきたいですね。

著者紹介:原田由美子(はらだ・ゆみこ)

 大手生命保険会社、人材育成コンサルティング会社の仕事を通じ、組織におけるリーダー育成力(中堅層 30代〜40代)が低下しているという問題意識から、2006年Six Stars Consultingを設立、代表取締役に就任。現在と将来のリーダーを育成するための、企業内研修の体系構築、プログラム開発から運営までを提供する。

 社名であるSix Starsは、仕事をする上での信条として、サービスの最高品質5つ星を越える=お客様の期待を越える仕事をし続けようとの想いから名付けた。リーダーを育成することで、組織力が強化され、好循環が生まれるような仕組みを含めた提案が評価されている。


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