“人前が苦手”を克服できる「3分間スピーチ」、成功の2つのポイント研修に行ってこい!

人前で話すスキルを磨く「3分間スピーチ」。本当に効果を出すために有効な方法をご紹介します。

» 2010年02月09日 11時00分 公開
[原田由美子,Business Media 誠]

 毎年2月〜3月は、次年度の人材育成計画や研修企画を立案するタイミングです。その打ち合わせで、人事や人材育成の担当者に社員の様子を聞いてみると、こんな答えが帰ってきます。

 「努力と仕事の成果が比例せず、気持ちがなえがちなのかもしれません。何とか元気になってもらえるように施策を考えていきたいんですが」。社員の日ごろの努力を支えたい、貢献したいというお話をいただきます。

 対外的な成果はなかなか上がりにくく、手ごたえを感じにくい現状です。しかし、そんな時だからこそ、社内で成長を実感できる場を設けることが非常に重要です。

 今回は、社内のOJTとして取り組むことで成長を実感でき、将来的には対外的な成果につながる“3分間スピーチ”についてご紹介します。

若手社員は人前が苦手?

 誠 Biz.IDの過去記事に、こんな記述がありました。

 若手社員が最もビジネススキル不足を感じたのは「人前での発表」。一方、最もスキル不足を感じる点について改善策を取った人が4割にとどまることが分かった。

人前が一番苦手? 若手社員のビジネススキル事情(誠 Biz.ID 2008年9月17日)

 「人前で話す機会」というのは、ビジネスの経験が長くなればなるほど、期待される役割が上がれば上がるほど、増えていきます。そのことに多くの人が気づいている一方で、「改善する機会がない」という現実もあるようです。

3分間スピーチの2つのポイント

 先ほどの記事のアンケート結果を見ると、「人前で話す訓練」=「会社の教育制度(研修)」となっていますね。研修は、効率的、効果的にポイントを学び、実習などでプロからのコメントをもらえるという意味で有効です。しかし、どのような場面でも自信をもって話せるようになるために必要な、場数や経験を積むことはできません。

 それを補う機会の1つとして提案したいのが、朝礼や人が集まった場での3分間スピーチです。すでに取り入れている会社であれば、次の2つのポイントを意識し取り組むだけで、大きな成果が期待できるでしょう。取り入れていない会社は、この機会に取り入れることをお勧めします。

ポイント1:上達の近道! 話す手順を知っておこう

 3分間スピーチでの訓練を実務につなげていくためには、誰でもすぐに取り組めて、話しやすくなる手順を活用すると効果的です。今回紹介する2つの手順は、自社や商品のPRにも活用できる有効な方法です。

 どの手順も、最初は自社の商品ではなく、自分が買った商品やサービスを選び、その実感や体感を基に伝える練習をするのがコツです。

  • ビフォー/ターニングポイント/アフター

 テレビ番組の「大改造!! 劇的ビフォーアフター」ではありませんが、イメージは一緒です。商品やサービスを受ける前の状態と、商品やサービスを受けた後の状態を次の手順でまとめます。

手順 話す内容
Before 紹介する商品やサービスを使う前の自分自身の状況
Turning Point その商品やサービスを使用するようになったきっかけ
After その商品やサービスを使用したことによる効果、メリット
  • FABE

 同様の商品やサービスが多いものを説明する時に有効な方法がFABE(ファーべ、またはファーべー)です。英語で言うとカッコよく聞こえますが、内容は実にシンプルです。次の手順でまとめます。

手順 話す内容
Feature 紹介する商品やサービスの特徴
Advantage その商品やサービスが他社よりも優れている点
Benefit その商品やサービスを使用することによる効果、メリット
Evidence その証拠

 ビフォー/ターニングポイント/アフターとFABE、まずは取り組みやすい方法を選んでください。その上で、最初は手順にしたがって自分の体験をそのまま原稿にまとめることをお勧めします。まとめたら、3分間で収まる内容に情報をそぎ落とします。この方法の良いところは、話すのが苦手な人でも、自分の経験が基になっているので話しやすいことです。

ポイント2:感想、アドバイスを伝えよう

 3分間スピーチを実施している組織は多いようですが、お互いへの感想やアドバイスまでしているケースは少ないようです。プレゼンテーション研修などで講師が、「ほかの方から感想やアドバイスをお願いします」と依頼しても、最初は「良かったと思います」とだけコメントする人が多いことからも、コメントを伝え慣れていない様子がうかがえます。

 しかし、感想、アドバイスは決して難しくありません。ポイントは次の3つです。

  • 話し手へのお礼と、話の全体的な印象や感想
  • 話し手のよかったところ
  • もっと○○するとよいと思えるところ

 最初は照れくさかったり、自分もできていないのに人にコメントするのに抵抗があるかもしれませんが、スピーチをして何も反応がないと、話し手は話すことそのものに意味を感じなくなります。逆に、コメントをもらえると「次に話す時にはここを工夫しよう」「ここを直そう」といった余地が生まれるため取り組みがいが生まれます。

 改善する意欲をもって取り組むと上達するので、周囲も話し手の上達が手に取るように分かります。プレゼンテーション研修でも、研修中に3回ほど実習の機会を盛り込み、その都度、感想やアドバイスを伝えると、1回目と3回目では自分で実感できるほど著しく変わります。

 せっかく場を設けてもやりっぱなしではもったいない。是非、お互いにコメントをしあい、相互に磨き合ってくださいね。次回は、ワンランク上のコメント、アドバイスをご紹介します。


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著者紹介:原田由美子(はらだ・ゆみこ)

 大手生命保険会社、人材育成コンサルティング会社の仕事を通じ、組織におけるリーダー育成力(中堅層 30代〜40代)が低下しているという問題意識から、2006年Six Stars Consultingを設立、代表取締役に就任。現在と将来のリーダーを育成するための、企業内研修の体系構築、プログラム開発から運営までを提供する。

 社名であるSix Starsは、仕事をする上での信条として、サービスの最高品質5つ星を越える=お客様の期待を越える仕事をし続けようとの想いから名付けた。リーダーを育成することで、組織力が強化され、好循環が生まれるような仕組みを含めた提案が評価されている。


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