残念な訪問でも成果につなげる「進め方」研修に行ってこい!

 今回は「確実に成果を上げてくれそうな人」が身につけている営業訪問の“進め方”を紹介します。この進め方を知ることで、仕事をスムーズに進められ、お客様が「任せられる」という印象をもつようになるはず。部下や後輩の育成/支援にお役立て下さい。

» 2010年08月26日 18時20分 公開
[原田由美子,Business Media 誠]

 景気が少しずつ回復傾向にあるという報道もありますが、残念ながらお客様が余裕を持って投資するまでの回復には至っていません。現場は「ぎりぎりの投資」「失敗が許されない投資」という緊張感を持ってビジネスに当たっている様子。また決済権のある方にお話を聞くと「確実に成果をあげてくれそうな人」に仕事を任せ結果を出すことで、次の好循環につなげていきたい、そんな思いを感じます。

 今回は「確実に成果を上げてくれそうな人」が身につけている訪問の“進め方”を紹介します。この進め方を知ることで、仕事をスムーズに進められ、お客様が「任せられる」という印象をもつようになることウケあい。部下や後輩の育成/支援にお役立て下さい。

営業マンへの同行

 若手社員を対象とした営業研修で必ず行うことがあります。それは、実際に営業している現場に同行させてもらうことです。講師の同行に若手社員は緊張しますが、日頃わたし自身が営業していることもあり、同行する身としては、まるで同じ会社の後輩に接するような感覚で現場を拝見しています。

 訪問時は、上図の進め方を押さえているかを確認します。これは、一般的に営業を対象とした研修で活用している定番の方法です。なお、同行するタイミングは研修前のため、営業担当者には自己流の進め方で商談や打ち合せを行ってもらいます。

 実際の訪問場面を拝見すると、研修実施後が楽しみになる(?)ケースに遭遇します。大企業や中堅企業であれば本来、現場でもしっかり教育しているはず。しかし実情は、営業担当者個人が自分自身で身に付けなければいけない場合が多く、特に若手社員は、残念な結果になるケースが多々あります。

 実際に目の当たりにした残念な場面は、こんな感じです。わたしの担当する企業研修の約6割が該当しました。

新規開拓を中心とした営業活動の場合

  • 自社の商品やサービスの説明に終始、お客様の現状や課題を聞けていない。
  • 自社の商品やサービスの説明はしたものの「ご検討ください」で終了。お客様の印象や感想、検討の余地があるかなど、Yes/Noの確認ができていない。
  • 案内した商品やサービスがニーズに合わなかった場合、お客様の課題に合わせたほかの提案ができていない。
  • 今後につながる宿題(補足資料、見積提案、ほかの商品を紹介する機会、全く関係なくてもお客様にとって役立ちそうな情報)を提示する機会を約束できていない。
  • お客様の反応がイマイチだと、顔や態度に落胆している様子が出てしまっている。

ルートセールスの場合

  • アポイントが取れていない(パンフレットのお届けだけ)
  • 世間話(地域の噂話)が中心
  • パンフレットを持参するも、お客様に関心を持っていただけそうなポイントを紹介できていない(「見ておいてください」で終わっている)
  • 商品やサービスの知識が薄く、紹介になっていない
  • お客様のビジネスについての関心が薄い
  • お客様が何かしら仕事につながるヒントを話しているにも関わらず、反応できていない(具体的に「これが欲しい」と言わない限り、気がつかない)
  • 時間を割いてもらったことに対するお礼など、あいさつができていない

 ――などがあります。根本的な課題は、営業マインドが受け身になっていることなどでしょう。しかし、その点を問題視すると、長年形成された考え方や行動の習慣であるため、なかなか変えられません。そこで、仕事を進める「型」を教え、その型に沿って、準備やお客様とのコミュニケーションを取る方法が必要になってくるのです。そのため、研修でお伝えするような、訪問の進め方を指導することが手段として有効になります。

「進め方」指導

 学ぶことの効果を伝え、意欲を高めるため、現場での指導は、上司や先輩を相手にロールプレイングを行うのが効果的。次のステップで進めます。

  1. 部下や後輩に、普段通りに取り組んでもらう
  2. 進め方を一緒に確認する
  3. 進め方に沿って再度実践してもらう

 3つのステップで、進め方を確認するだけでスムーズに進められるようであれば、部下や後輩から、どのような点が進めやすくなったかを聞き、上司や先輩からは、確認前と確認後でどのように印象が変わったかを伝えます。進め方をすぐに実践できる人は、意識して訪問を行えば、お客様の反応が変わってきます。お客様の反応がどのように変わってきたかを確認すれば、成果に手ごたえを感じられるようになるでしょう。

 確認後もスムーズにできない部下や後輩は、繰り返しロールプレイングすること。誰でも練習すれば身につけられます。多少時間はかかりますが、粘り強く取り組めば成果も自然とついてきます。

 なお、上司や先輩である皆様が進め方を知らなった場合や、その効果を実感できない場合もあるでしょう。そういう人たちに向けて筆者が得ている効果を3つご紹介します。

  1. 準備がしっかりできること
  2. しっかり準備し「役に立ちたい」という姿勢が伝わることで、熱意を感じてもらえること
  3. 仕事に抜け・モレがなくなること

 3つの効果を筆者が感じることで、お客様は「成果をあげてくれそう」という期待や信頼を持ってくれます。結果、既存顧客がゼロの独立・起業後も、新規で仕事をもらい、継続案件につながっています。

 誠 Biz.IDの読者であれば恐らく、無意識にこのような手順で仕事を進めているのではないでしょうか。ぜひその効果を部下や後輩が実感できるよう、今回の記事を参考にしてみてください。


著者紹介:原田由美子(はらだ・ゆみこ)

 大手生命保険会社、人材育成コンサルティング会社の仕事を通じ、組織におけるリーダー育成力(中堅層 30代〜40代)が低下しているという問題意識から、2006年Six Stars Consultingを設立、代表取締役に就任。現在と将来のリーダーを育成するための、企業内研修の体系構築、プログラム開発から運営までを提供する。

 社名であるSix Starsは、仕事をする上での信条として、サービスの最高品質5つ星を越える=クライアントの期待を越える仕事をし続けようとの想いから名付けた。リーダーを育成することで、組織力が強化され、好循環が生まれるような仕組みを含めた提案が評価されている。


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