インタビュー
» 2010年07月07日 09時00分 UPDATE

電書部の真実:電子書籍をフリマで対面販売する「電書部」が目指すものとは(前編) (2/3)

[山口真弘,Business Media 誠]

 電子書籍部では、手掛ける電子書籍を「電書」と呼ぶ。「籍」の字が入ると重くなることから、もっと軽い感覚で、とつけた造語だ。「回覧板とか子供が作るオレ新聞ぐらいの軽さも可能だよ、っていう意味で電書って呼んでます」(米光氏)

電書だからできる、顔が見えている人に向けているテキスト

米光氏 仲間内だからできる表現とか対話ってあると思うんですね。ある特定の疾病に苦しんでいる当事者たちの会だとか。そこでの対話はオープンなネット上にあげにくいし、Ustreamで中継しないと思うんですよ。そうじゃないほうがみんなが対話しやすい。仲間内だからできる。一定の共通認識だったり、共有できる空気感だったり。

誠 Biz.ID 前提があるからこそ誤解を受けない、正しく伝わる内容。

米光氏 うん。それなしに、「発表するときは常に全世界に!」っていうのは、つらい。

誠 Biz.ID そうした意味で、ブログなどとは違う媒体として、電書を選んでいると。

米光氏 例えば、今度やりたいと思ってるんですが、トークイベントで電書を出す。質疑応答とかそういうのを軸にして。で、その対話をポメラかノートPCで同時に入力していくんですよ。そうしたらイベントが終わったときに、会場に来てた人にそのイベントの記録を電書として持って帰ってもらえる。帰りの電車の中で、自分が質問した言葉が入っている本を読むことができる。それはおもしろいだろうなーと。

誠 Biz.ID 興味深いですね。

米光氏 同時に入力していってるから、きっとそれってけっこう粗いテキストなんですよ。イベントに参加してない人だと誤解したり、意味不明だったりする文章になってる。でもイベントに参加している人が読者だったら、意味不明にならずに届けられる。例えば「あいつ莫迦」って言ってるのが、どういうニュアンスか描写してなくても、イベントの記憶があるから、粗いテキストでもいい。帰りに読めるという同時性を優先できる。それって電書だからできることのひとつだと思うんです。

誠 Biz.ID なるほど、空気感をそのままテキスト化するという。

米光氏 誰が読むのか、顔が見えている人に向けているテキストとでもいうか。のっぺらぼうの誰かに向けるんじゃないテキストを流通させることができるなーって、Kindleを使ってみて分かってきたんです。

誠 Biz.ID 先の文学フリマで用意していたFAQでも、ネットで買えませんか、買えません、という想定問答があったかと思うのですが、そうした流通を意図しているのであれば、現地販売にかぎるというのも自然な結論なわけですね。

米光氏 いやー、ネット販売もできればできたでいいんですけどね。

誠 Biz.ID (笑)

米光氏 まずは、まあ、そういうことだから、対面で販売してますって感じなんですね。

電子書籍部なら、ライティングから校正から編集から本屋から、全部体験できる

誠 Biz.ID 前回の文学フリマはどのような体制で運営していたんでしょうか。ブログを見るとスタッフ数は約32名と書いていますが。

米光氏 宣伝会議でぼくが専任講師をやっている「編集ライター講座・プロフェッショナルライティングコース」という講座があって、そこで電子書籍部ってのをやるよーって言って始めたんです。その講座は座学中心じゃなくて実践的な講座で、そもそもその講座をやるのも電子書籍部をやるつもりだったんですね。電子書籍でライティングから校正から編集から本屋から、全部体験できるじゃないかと。しかも、未来の!

誠 Biz.ID それが前提にあっての講座だったんですか。

米光氏 ええ。講座をやるときには、これで講座が意義あるものになるなって考えてました。で、部活なのでやりたい人だけやる、というか、ぼくの講座は基本そういうスタンスなんですね。やりたい人がやりたいことをやる。というわけで、部員の正確な人数が分からない(笑)

誠 Biz.ID わはは。

米光氏 やりたいって入ってきたけどなんにもやってない人もいるだろうし、いつのまにかチラシを作ってる人もいる、講座生じゃない人も参加している。やる気のある人に対していつでも参加できるように門戸は開いている。そんな感じなので、32人っていうのも、それぐらいかなーって感じです。

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