インタビュー
» 2013年01月10日 10時00分 UPDATE

個人サイト管理人の「目」:1億総情報発信のSNS時代がもたらした「炎上の日常化」と付き合う方法 (1/3)

SNSが普及し、誰でも気軽に情報発信できるようになった半面、連日“炎上”が相次ぐようになった。そのうえ情報量が激増し、ネット社会はより複雑化してしまっている。そんななかで、我々はネットの情報とどう付き合っていけばよいのだろうか。ネット黎明期から約10年以上個人サイトを運営する“ネットのベテラン”たちに話を聞いた。

[村上万純,Business Media 誠]

 日本のネット人口は9000万人を超え、ソーシャルメディア人口も5000万人を突破したと言われている。

ah_soc1.jpg Facebookは法人の利用も増えてきた。グラフは自社で公式アカウントを所有しているソーシャルメディア(2012年の記事、出典:NTTレゾナント)

 誰もが気軽に情報発信できる環境が整ってきたが、歓迎ばかりしていられない。ブログやSNSで頻繁に“炎上”が起きたり、東日本大震災時にはデマ情報が飛び交うなど、ネットを使い慣れない人が引き起こすトラブルが目立ち、そのリスクが浮き彫りになった。

 また、ネットが一般家庭に普及したここ15年で、人類史上かつてないほどの速度で情報量が増加した。その結果、個人では処理しきれないほどたくさんの情報が、日々リアルタイムでソーシャルストリームに流れるようになった。氾濫する情報の海から、自分にとって必要な情報を選ぶ手間と技術が、現代人には必要だ。

 ネットを利用する全ての人に高いネットリテラシーが求められる時代になった。多くの人が気軽に使うmixiやTwitter、FacebookなどのSNSですら、炎上の危険をはらみ、注意が必要なうえ、膨大な情報の中から必要なものを取捨選択しなければならない。その危険性と難しさから、SNSの使用を控えてしまっている人も少なくないだろう。このほか、仕事でいわゆる“ソーシャルメディア担当”としてSNSを活用しなければならず、その使い方に悩む人も多いはずだ。

 そんなネット時代を生き抜く処方箋を提示するべく、1990年代半ばのネット黎明期から2000年前後のブログ草創期以降に個人サイトの運営を始めた“ネットのベテラン”たちに話を聞いた。「虚構新聞」(2004年〜)のUK氏、「絵文録ことのは」(2003年〜)の松永英明氏、ニュース記事をピックアップしてコメント付きで紹介する“個人ニュースサイト”を運営する「まなめはうす」(1996年〜)のまなめ氏、「ー`)<淡々と更新し続けるぞ雑記。ωもみゅもみゅ」(2000年〜)のさらしる氏の4人だ。

 今でこそソーシャルブックマークやTwitterなどで情報を得られるが、そういったサービスが出る以前は、検索エンジンだけにその術が限られていた。そのうえ、検索結果に反映されていないページが山ほどあったため、必要な情報を見つけるのは至難の技だった。他方、彼らは有益な情報をいち早くその「目」で見つけ出し、それをまとめてサイトで読者に提供していた。約10年も前から、今でいう「キュレーション」の役割を担ってきたのだ。

 本連載では、そんな個人サイト管理人の「目」はこれまでネットで何を見、どう情報と付き合ってきたかを解き明かし、その経験と知識に学びつつ、ネット時代を生き抜く処方せんが提示できればと思う。

今の日本社会の不幸さを表す「メシウマ」

 炎上すると、しばしばその影響はネットだけに留まらず、現実社会にまで及ぶ。ちょっとした失言を投稿してしまったのを機に炎上が起き、本名や住所、勤務先などの個人情報がネットで公開されてしまう。しかも恐ろしいことに、それらは半永久的にネットに残り続けることになる。

 第1回は「炎上」をテーマに話してもらった。2011年以降、TwitterをはじめとするSNSでの炎上が相次いでいるが、その背景はどこにあるのだろうか。その対処方法や、炎上をめぐるネットの現状についての率直な意見を彼らに聞いた。

画像 当時炎上していた生活保護の問題に言及した「絵文録ことのは」。2ちゃんねるまとめサイトに取り上げられたこともあり、はてなブックマークは1000を超えた

松永 ネットでよく見かける「メシウマ」っていう言葉が一番分かりやすく世相を表してると思うのですが、「他人の不幸で飯がうまい」って意味ですよね。今の日本は経済不況のせいで、社会全体に余裕がないし、人の不幸を喜んでいないと生きていけない人たちが本当に多いと感じます。他人を誹謗中傷したり、個人情報を晒したりして喜ぶ人が多いのは、ある意味日本が平和な証拠だと捉えることもできますが、それが娯楽となっている社会は不幸だと思いますね。

まなめ 最近大学生がTwitterに飲酒運転や万引きを告白する投稿をし、炎上してしまうケース、よく見かけますよね。実はその影に、ああいう話題を趣味的に検索して、見つけたら公式RTしたり、2ちゃんねるに書き込んだりして、情報を拡散させようとする人たちがいるんです。そういう危険なユーザーがいるのを知らないで、「俺のフォロワーは15人で、友達しか見てないから大丈夫」と思って、不用意な発言をするのはとても危険です。


 日本社会自体の余裕のなさが、他人の不幸を「メシウマ」と叫ぶネットユーザーを増やすことになったという松永氏。Twitterにおける炎上の裏に、悪意を持って情報を拡散する個人が潜んでいると説くまなめ氏の意見にもつながる。

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