フリーランスが経理の手間から脱出するカギは「自動化」。今回は、青色申告をする際に障壁となる経理の「煩雑さ」を乗り越える方法を考えていきます。
65万円の控除が受けられる青色申告はフリーランスにとって大いに魅力です。しかしそのためには複式簿記で記帳し、賃借対照表と損益計算書を添えて提出しないといけません。
「そもそも私に税金の計算なんてできるの?」
という根本的な疑問を抱いている人も多く、とにかく敬遠されがちな経理。ですが、仕組みが分かってしまえばそう難しいものではありません。小学校で学んだ簡単な四則計算さえできれば十分可能なのです。また長引く不況の中でたくましく生き抜くには、自身の経済状況を正確に把握する経営管理が必須。経理は個人事業主を守ってくれる大切なものです。
とはいえ、帳簿付けが面倒な作業であることは事実。1年間のお金の動きを把握し、記帳するには膨大な時間と手間が掛かります。今回は、青色申告の残る障害「煩雑さ」を乗り越えるための方法を考えていきます。
一般的に、会社で経理の仕事をするには簿記の知識が必要です。私もフリーランスとして独立後、簿記の本を読みました。自分で経理ができるようになりたかったのと、どうせなら簿記の資格を取得し、学んだことを形に残したいと思ったからです。
「簿記の資格を持っていれば、もし本業がダメになってもどこかの会社の経理になって、食いつないでいくことができるかも……」なんていう打算もあり、フリーランスという冒険に出るためのいわば保険のようなものです。
現在、私が取得している資格は英検とTOEICだけ。この2つの資格を持っているからといって何か特別な仕事に就けるわけではありません。できれば士業の資格が欲しいところですが、あまりにもハードルが高すぎるので却下。簿記3級なら独学で取得できると本で読んだので「じゃあ、やってみようか」と思ったのです。
ところがこれが甘かった……。まあ当たり前の話かもしれませんけどね。
もともと計算が苦手で、数字を見ただけで思考停止に陥ります。頭の中でシャッターが下りてくる音がするわけです。そんな私が簿記なんてできるわけがない。公式とか仕訳の種類とか、覚えないといけないこともたくさんあって、とてもじゃないけど私には手に負えませんでした。
簿記の資格取得の挫折から学んだ教訓はただ1つ。「アナログ処理は素人の手に余る」ということです。手書きで帳簿を付けられるのは、経理のプロだけ。そしてプロの域に達するためには片手間ではなく、本気の勉強が必要です。やり遂げようと思ったら本業をやめて1日の大半を勉強に費やし、場合によってはスクールにも通わないといけません。
年間に発生する膨大な数のお金の動きを素人が管理するなんて、うさぎに獲物を狩れと言っているようなもの。これから青色申告するという方、全部自分でやろうなんて無謀な考えは、どうぞ持たないでください。
別の方法を探したところ、税理士に頼むのはお金が掛かりすぎるので即却下。そこで、ITを使うのがよかろうという結論に達しました。今の時代、ITが手となり足となって働いてくれる時代です。税理士や秘書がいなくても、デジタル技術がその役割を果たしてくれます。
ITを使って青色申告することを考えたとき、すぐに候補に挙がったのは以下の2つです。
順番に見ていきましょう。
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