カフェや美容院などで見かけることが多くなったiPadレジ。モバイルPOSの普及が進むのはなぜか? その普及の先にあるものとは? 「POS+」の開発責任者に聞いた。
業務アプリのクラウド化やモバイル化が進むのと同様に、POSシステムもタブレット端末を活用するモバイルPOSへの移行が進んでいる。レジにiPad、注文端末にiPod touchを使うカフェやレストランなどを利用した読者もいるだろう。なぜ、モバイルPOSが伸びているのか。今春、クラウド型のモバイルPOS「POS+(ポスタス)」をリリースしたインテリジェンス ビジネスソリューションズの本田興一氏に話を聞いた(聞き手は誠 Biz.ID編集部の岡田大助、以下敬称略)。
岡田: この1〜2年で、iPadレジを使ったお店が増えてきましたね。自宅の近所にあるカフェレストランでは注文端末がiPodでした。なぜ、モバイルPOSが伸びているのでしょうか?
本田: ざっくり3つの理由があります。導入コストの低さ、教育コストの低さ、そして省スペース化です。
岡田: ああ、省スペースは分かりやすいですね。ドーンと主張するPOSレジも今ならiPadで済む。クレジットカード決済も、無線経由でレシートも印刷できます。何よりスマートな感じでイメージアップ効果もあるんじゃないですか?
本田: そうですね。だからモバイルPOSのアーリーアダプターの多くはカフェや理美容店でした。その後、小売店にも広がって成長期に入ったと見ています。教育コストについても、ほとんどの人が数回さわっただけで使い方を理解します。一般のスマートデバイス普及率が約6割ということもあって、なじみやすいのでしょうね。
岡田: コスト面での優位性についてはどうでしょう?
本田: 一般論ですが、従来型のPOSシステムは初期費用だけで100万円、200万円の世界でした。オーダー端末も1台10〜15万円です。これだけのコストをかけても、できることはレジ機能とオーダー機能だけ。これに月額2〜5万円の保守費もかかります。だから、POSシステムを導入できるのは上場企業やそれに準じる規模の企業に限られました。例えば、飲食市場は約17兆円ありますが、POSシステムを導入できるのはせいぜい上位10%程度です。
岡田: つまり、残りの90%にモバイルPOSの勝算あり、と? 実際にどのくらい安く導入できるものでしょうか?
本田: POS+の場合、初期費用が10万円、月額利用料が6000円。オーダーエントリーシステムが3台までで4000円ですね。保守は月額4000円で、10時〜23時までのコールセンター対応と当日14時までに連絡をもらえば駆け付け対応もします。
岡田: 1カ月に何度も駆け付け対応させられたら、赤字になりません?
本田: ところがそんなに呼ばれないんですよ。導入時にピークがあって、その後はメニュー改変などで月に1回呼ばれるかどうか。保守でも教育コストの低さは際立っていますね。
岡田: ところで、POS+ならではの特徴は何でしょうか?
本田: 当社はレジ屋ではなくシステムインテグレータです。40年近いSI業務のお客さんには大手小売店や100店舗クラスの飲食チェーンもありました。「店舗オペレーションのキモはこの辺かな? こういう数値管理が重要だろうな」というノウハウが蓄積できています。POS+では、お店の状況を可視化して、コンディションを把握するための数値を自動計算する仕組みをモバイルデバイスで提供します。
岡田: 具体的に何をするのでしょうか?
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