なぜサイボウズは赤字になっても「kintone」に投資するのか?

簡単に業務アプリが作れるプラットフォーム「kintone」は約1700社が利用している。9月のアップデートでは、案件管理機能とグループウエアのスケジュール機能の連携が可能になる。

» 2014年09月10日 15時30分 公開
[Business Media 誠]

 2014年6月に発表された「サイボウズ、初の赤字転落」――創業から17年間連続で黒字を出し続けてきた同社に今、何が起きているのか? 青野慶久社長は「kintoneには、赤字にしてまでも投資するだけの勝算がある。行けると思っているからアクセルを踏み続けているだけだ」という。

 kintoneは、顧客管理や帳票管理、交通費申請、社内FAQといった業務アプリをプログラミングスキルがなくても開発できるプラットフォームだ。kintoneで利用しているアプリを種別ごとに並べると、「案件管理」(55%)、「顧客管理」(49%)、「日報管理」(29%)といった営業支援アプリが上位に来る。

kintone

 2014年9月には、同社の大企業向けグループウエア「サイボウズGaroon」のスケジュール機能とkintoneの顧客・案件管理機能の連携を実装する。これにより、Garoonのスケジュール画面に顧客データを読み込んだり、kintoneの案件管理アプリで営業履歴を参照できたりするという。

 kintoneは2011年11月のリリース以来、17回のバージョンアップで177件の機能追加を行い、開発パートナーによるアプリ提供数も増加している(2014年9月時点で24社47アプリ)。2014年8月時点での利用社数は約1700社に達した。

青野慶久 青野慶久社長

 「クラウドサービスの特徴は、1社当たりの平均売上推移が年を経るごとに増加していくこと。解約がないわけではないが、全体でみれば利用ユーザー数が増加していく。導入初年度で大きく稼いでも翌年以降の売り上げが5分の1になるオンプレミス(企業が「所有」する従来型ITシステム)とは大きく異なる」(青野社長)

 当初は「シンプルで簡単」をキーワードに中小企業を狙って展開していたが、近年ではアサヒビールの中国法人がビールサーバーを製造するホシザキ電機、配送を担当するヤマト運輸と連携するサプライチェーンシステムを構築するなど大企業での導入事例も増えている。

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