インタビュー
» 2014年11月05日 06時00分 UPDATE

営業スキルは動画で教え、いいね!で広める――ナレッジ共有の進化形「frontshare」

トップ営業が持つ資料作りやプレゼンのコツ、優秀な店員の接客技術、専門技術を持つスタッフならではスキル――。座学で学ぶよりも、現場スタッフから直接学んだ方が身につく業務現場のノウハウを“手軽に動画で”発信し、共有できるビジネスSNSが登場した。

[高橋美津,Business Media 誠]
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 トップ営業が持つ資料作りやプレゼンのコツ、優秀な店員の接客技術、専門技術を持つスタッフならではスキル――。こうした業務現場のノウハウは、座学で学ぶよりも、現場スタッフから直接学んだ方が身につくものだ。

 しかし、そういった“スター社員”ほど日々の業務に忙しく、なかなかその“職人芸”を部下に伝える時間がない。この“会社の財産”ともいえる彼らの知見を“属人的なスキル”のままで終わらせず、共有して生かすことができたら――と考えたことはないだろうか。

 昨今、このような社内のナレッジを配信/共有するための手段として注目を集めているのが企業内SNSだ。

 企業内SNSといっても、基本的な機能はFacebookやLINEなどと同様。手軽に情報を発信・共有できるメリットはそのままに、参加者や情報の共有範囲を設定できたり、セキュリティ面を強化しているのが特徴だ。

 社内情報を共有するためのツールとして定番のグループウェアが、企業の組織構造に合わせた「縦のつながり」の中で情報を流すのが得意なのに対し、企業内SNSは、事業部や部門、役職の壁を意識せずに情報の受発信を行えるのがポイント。組織全体の活性化を図れることに加え、埋もれがちだが重要な意見やアイデアを掘り起こし、共有するのに威力を発揮する。

 こうした「企業内SNS」を実現する製品はさまざまなものが登場しており、活用の方法論については、10年以上にわたって多くの試行錯誤が行われてきた。その中で、サイバーユニバーシティが6月から販売を開始した「frontshare」は、近年、カメラ付きスマートフォンや動画共有サイトが一般化したことで利用のハードルが低くなった「動画」を生かした企業内SNSサービスとして、ユニークな存在だ。

ポイントは「eラーニング」+「ソーシャル」

 クラウド型サービス「frontshare」の開発元であるサイバーユニバーシティは、ソフトバンクが設立した「サイバー大学」のシステム開発と運営、さらにソフトバンクグループを中心とした企業へのeラーニングシステムの提供を行っている企業だ。frontshareは、これらの実績で培ったノウハウを元に、新たに構築された「ソーシャル型eラーニングシステム」をウリにしている。

 frontshareは、ユーザーのグループ管理が可能なSNS機能を備えており、このSNS機能の中で、動画ファイルのほか、画像やプレゼンテーションデータ、テキストメッセージの保存と共有が可能だ。

Photo スター社員の営業テクニックやカリスマ店員の接客技術を、動画とスライドを使って配信できる。SNS機能を備えており、人気のコンテンツはどんどん社内に広がっていく

 サイト上でのコンテンツの共有は、一般的なSNSと同様の操作で行え、ユーザーがアクセスすると、Facebookのニュースフィードのような形で、共有されているコンテンツの一覧が表示される。動画の再生やコメントの付加、ソーシャルボタン(いわゆる「いいね!」ボタン)を押すといったアクションも、SNSの使い勝手を意識した操作で行える。iOS、Androidスマートフォンやタブレットでの利用にも対応しているので、時間や場所を選ばず社内のナレッジを学ぶことが可能だ。

sa_fs52.jpgPhoto スマートフォンやタブレットに対応しており、時間や場所を選ばず学習できる。気に入ったコンテンツにはいいね!やコメントをつけられる

 大きな特長は、全ユーザーがそれぞれに「セミナー形式の動画コンテンツ」を作成するための機能が用意されている点だ。これには、frontshareのオプションツールである「CC Producer」を利用する。

 セミナーといえば、講演者が話をしながら適当なタイミングで画面に表示されているプレゼンテーションのページを送っていく――といった形式が一般的だが、CC Producerを利用すると、PC上のカメラとマイク、マウスを利用して、この形式の動画ファイルを作成し、frontshare上で容易に共有できる。

Photo PCの内蔵カメラに向かって話すだけでという手軽さで動画コンテンツを作成できる

 frontshareとCC Producerを組み合わせると、現場のユーザーひとりひとりが自由に作成したラーニングコンテンツを、社内全体に向けて発信し、それを中心としたコミュニケーションや議論を行う場を構築できるわけだ。

教材よりも身になる「同僚や先輩の知見」、動画で手軽に共有

Photo サイバーユニバーシティ マーケティング・コミュニケーション部部長代行の石井英之氏

 一般的に、企業が行う社員教育は、あらかじめ人事部門が用意したコンテンツを使い、対象となる社員に対して実施するものだった。eラーニングを利用する場合も、「社員が好きなときに受講できる」といったメリットはあるものの、大枠は変わらない。もちろんfrontshareは、従来のようなeラーニングとして利用することもできる。

 「ユーザー(社員)が独自にコンテンツを作って配信できる」という仕組みの狙いについて、サイバーユニバーシティ、マーケティング・コミュニケーション部部長代行の石井英之氏は「人事が行うメニューどおりの研修以上に、一緒に働いている上司のひとことや、同僚のアドバイスのほうが現場で役に立つことを経験から感じている人も多いはず。そうした現場での知識やノウハウといったナレッジを形式知化して、横展開していくための仕組みに利用できる」と話す。

 例えば従来、特に成績が良い個人や店舗のセールスノウハウなどを社内で横展開しようと思えば、どこかの部署が主導して調査を行い、手間をかけてノウハウの抽出と標準化(コンテンツ化)を行う必要があった。また、仕事を進める上で役立つ“現場ならでは”のちょっとしたコツなどは、形に残らない部署内での口伝ですませてしまうケースも多い。

 frontshareが目指すのは、こうしたノウハウを含む雑多なコンテンツが、現場の担当者の手で直接作られ、次々と共有、蓄積される環境だ。その中から、特に役に立つもの、興味深いものは、SNS同様の評価や議論の仕組みによって自然とクローズアップされ、社内で拡散されていくというわけだ。

 動画コンテンツをメインとしている点については「文書に比べて、圧倒的に情報量が多く、短時間で多くの内容を学べる」メリットがあると石井氏。また、「動画共有サイトが一般的になり、特に若い世代のユーザーは気軽に動画を作って共有することに慣れている。より多くのコンテンツが生まれ、閲覧されやすい環境になってきた」(法人営業部の井内恵美氏)というのも、動画を推す理由の1つだ。

Photo スマホで撮った動画を使えるようにするなど、動画コンテンツ制作のハードルを下げる工夫をこらしている

雰囲気や話し方が重要な「接客・販売ノウハウ」で威力

 具体的なfrontshareの活用ケースとしては、チェーン店舗を展開している企業が、業績の優秀な店舗の陳列ノウハウを共有したり、スタッフの接客・販売ノウハウをシェアしたりといったものが挙げられる。また、新製品投入のサイクルが早い販売店などでは、新製品のポイント紹介や、効果的な売り方などをコンテンツ化して共有することも考えられる。特に「動画であることに意味がある」分野に向いていそうだ。

 また、SNS型のツールであることを生かして、あるテーマについて多くの社員や店舗から動画(アイデア)を募ってコンテストイベントとして展開したり、クラウドサービスであることを利用して、企業の就職内定者やアルバイトに対してもコミュニケーションツールとして開放したりできるなど、一般的なeラーニングツールとは異なった活用方法も考えられる。

 現時点では、「ユーザーが気軽に動画を作成してシェアできる点を重視している」ということで、例えば「ユーザーが作ったコンテンツを上長が承認した上で公開する」といった詳細な管理機能や、全ユーザーによる詳細なアクティビティを管理者が一覧できるダッシュボード的な機能などはなく、今後の機能強化にあたって実装を検討していきたいとしている(現時点でも、ユーザー別、グループ別のコンテンツの閲覧履歴などについては確認が可能)。


 「ユーザーが自分の好きなように情報を発信して、共有できるプラットフォーム」を企業内で効果的に使うためには、運用面で考慮すべき点も多く、それがいわゆる「企業内SNS」の導入展開を難しくする一因にもなっている。

 しかし、frontshareの特長である「動画」というメディアの具体的なメリットを生かせる業種や、離れた現場同士のコミュニケーションを活発にして現場知識の共有を図りたいと考えている企業にとっては、検討の価値がありそうだ。

 frontshareはクラウドサービスとして提供されており、ユーザー数単位ではなく、サービス単位での月額課金となる。料金は、最大利用人数100ユーザーまでの場合、初期費用が4万円(税別)。月額利用料が4万円(税別、ストレージ最大容量1Gバイト)。CC Producerの月額利用料が8000円(税別、ストレージ最大容量500Mバイト)。

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