なぜ人は仕事よりメールチェックで時間を潰してしまうのか?ビジネスチームハック(1/2 ページ)

ダイエット中に出されたおいしそうなケーキ。ついつい食べてしまうという失敗は誰にでもあるもの。なぜならば、人間は目先の魅力に弱いのです。

» 2014年11月07日 11時00分 公開
[佐々木正悟,Business Media 誠]

 「双曲割引」という心理学用語があります。例えば、ダイエットの難しさ。ダイエットを決意したタイミングでは「スリムな体型」の魅力が「ケーキ」のそれを上回っているにもかかわらず、お腹が空くと「ケーキ」の魅力がにわかにリアリティを取り戻してしまいます。心理学では、この現象のことを「双曲割引」といいます。

 未来の魅力は、現時点よりも遠い将来になればなるほど割り引かれますが、その割引率は一定ではなく、現時点に近づくと割引率が激減するのです。極端に言えば、100日後の魅力は見えにくいし、それどころか1週間後の魅力も見えにくいが、1日後の魅力は一気に見えやすくなるということです。

 ケーキを食べて得られる魅力は、すぐ手に入れられるため非常に大きく見えますが、スリムな体型を得たときの魅力はどうしても将来的なものになります。従って割引率がかなり高いので、魅力を実感するのが難しいのです。

プロジェクトをメンバーに進めてもらうコツとは

ケーキ

 チームのメンバーがなかなか手がけてくれないプロジェクトにも、この「魅力の割引き」という問題がからんでいます。

 どんなチームメンバーにしても、メールチェックに多大な魅力を感じているわけではないでしょう。緊急の決まり切った仕事が大好きというわけでもないと思います。でもそちらを優先してしまうのは、すぐに達成感が得られるからです。

 すぐに得られる魅力の大きさはバカにできません。帰宅してからちゃんと食事を取った方が安いしおいしいし健康にいいと分かっていても、つい目の前に現れるコンビニなどで簡単な食事と缶コーヒーを買ってしまうのも、ちょっとでも遠くなった魅力のリアリティが弱いからなのです。

 ということは、100日後のプロジェクトを成功させた達成感を訴えても、なかなか伝わらないということです。目の前の簡単なメールチェックの達成感に負けてしまうのです。

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