どんなに重要なタスクであっても、どうしても取りかかる気が起こらないときというのがあります。そんなときには優先度が“低い”タスクから取りかかるのが効果的。その理由を心理学の視点から説明します。
GTDなどではよく、「タスクの優先順位をつけること」の重要性が説かれていますが、最重要のタスクでも、取りかかりにくい状況や気持ちの時もあると思います。しかし、そういう仕事を後回しにすると、気になって他のことが手につかなかったりします。どうしたらいいでしょう?
この問題に対する対処法として、次のようなやり方が考えられます。
まずは1のステップですが、ここに書くことは、あくまでも「その日のうちにやるべきこと」だけです。翌日以降にやってもいいことは書かないようにしましょう。
そして2が肝心ですが、最初に「最重要のこと」が手につかないのであれば、それからやろうとしても時間の無駄です。むしろ、「その日のうちにやるべきだが、それほど重要でもないこと」をまず片付けていきましょう。いずれにしても、その日のうちにやらなければならない仕事なのですから。
これは「ヤーキーズ=ドッドソンの法則」という、心理学では有名な法則を図示したものです。人は、無気力ではもちろん最高のパフォーマンスを発揮できないが、緊張しすぎていてもダメで、最適な心の緊張状態というものがある、という法則です。
スポーツなどでは誰もが経験したことがあることでしょうが、これを仕事に応用すると、「最重要の仕事を今日中に片付けなければいけない!」というとき、人は緊張しすぎているのです。だからうまくいかないのです。
そこで、どちらかと言えば重要でないことをどんどん片付けることで、心理的には緊張感が弱くなります。それは、仕事が片付くことでリラックスできるからということと、簡単な仕事を行ううちに、それなりにエネルギーが発散されて、よけいな力がそぎ落とされるからです。
そうして「ほどよい緊張状態」に入ったら、「重要な仕事」に取りかかるとよいでしょう。
「シゴトハッカーズ」「あなたの不安、見積もります」の筆者、佐々木正悟さんの新刊『残業ゼロの「1日1箱」仕事術』が発売になりました。
次に何をすべきかは分かっている、材料もすべてそろっている、でも、なんとなく取りかかる気がしない……。仕事を前に、こんな状況でダラダラと時間を浪費してしまった経験は誰にでもあるでしょう。
本書のテーマは、どうやって自分の中から「やる気」を引き出すか……といっても、気合いや根性を総動員するような「精神論」ではありません。
ご紹介しているのは、最新の脳科学・心理学の知識に基づいた「正しい」モチベーションの上げ方なのです。
心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.