コラム
» 2015年02月10日 05時00分 UPDATE

インターネット文化の基本は「恩返し」ではなく「恩送り」 (1/2)

「IT 勉強会カレンダー」の定期更新が停止する。個人の趣味でやっていたとはいえ、他人の人生を変えることもあり、これは立派な仕事だった。この恩恵を受けた人は、今後、後輩に対して何ができるかを考えて欲しい。

[横山哲也,Business Media 誠]
誠ブログ

 IT業界は日々新技術が登場するせいか、会社を超えた勉強会が盛んである。おそらく、インターネットの文化が影響しているのだろう。

 インターネット文化の基本思想は「個人責任による運用」と「情報の共有」である。インターネット上でのコミュニケーションは所属と個人名を明記するのが基本だった。匿名が禁止されていたわけではないが、所属を名乗らないと「どちらのヨコヤマさんですか?」と聞かれたものだ。

 インターネットの商用利用が解禁になり、1996年頃から勉強会が増え始め、今ではほぼ毎日何らかの勉強会が行われている。あまりに多いので情報を探し出すのもひと苦労である。

個人の趣味で運営されていた「IT 勉強会カレンダー」

 しかし、世の中には便利なWebサイトがある。「IT 勉強会カレンダー」にアクセスすると、日本のほとんどの勉強会がGoogleカレンダーとして公開されている。お世話になった人も少なくないはずだ。

 実はこのサイト、「はなずきん」さんが個人の趣味で運営している。彼女とは、マイクロソフトMVPの集まりで何度かお会いしたことがあるが、本当に好きでやっているのだそうだ。仕事にもコミュニティ活動にも力を注ぎつつ、家庭も大事にするバランスの取れた女性という印象を受けた。

 そんな彼女が自身のブログで、IT 勉強会カレンダーの定期更新を停止すると発表した。正確には「情報をいただいての定期的な情報更新」を停止する。停止の理由は、興味の対象がほかに移ったこと、家庭内で優先度を上げたいことがあるとのこと。趣味に割く時間を減らすには妥当な理由だろう。手作業でやっている仕事を自動化すれば少しは時間が捻出できるかもしれないが、精神的な負担も考えると節約効果は限られる。ここは、彼女の決断を尊重したい。

 この発表のあと、「IT 勉強会カレンダーで人生が変わりました」という投稿があった(IT 勉強会カレンダーの思い出)。このブログを彼女が自分のFacebookで紹介すると、「私も」という人が何人も現れた。個人の趣味でやっていることが、他人の人生を変えることもある。趣味とはいいながらも、IT 勉強会カレンダーは立派な仕事だったと言える。

 これを使っていた人は、これから不便になる。できれば誰かがこのあとの更新を引き継いだ方がいいのだろうが、そこはあまり深刻に考えなくてもいい。人の趣味を引き継ぐ必要はないし、本当に必要だと思ったら必要だと思った人が作ればいいのだ。義務感で引き受けたり、強制されても長続きしない。

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