Twitterで勉強会を盛り上げるあなたの不安、見積もります

社内勉強会を開催しても、いまひとつ盛り上がらない――そんなとき、実はTwitterを使ってみるのが有効です。その理由をお話ししましょう。

» 2010年01月14日 08時34分 公開
[佐々木正悟,Business Media 誠]

 仕事への意識が高いビジネスパーソンの中には、自発的に社内勉強会などを行っている人も多いと思います。

ビジネスパーソンの気になる疑問

社内勉強会を開催しても、いまひとつ盛り上がらずに困っています。質問が出やすいようにテーマを設定してみたり、こちらからも問題を提示してみたりと、いろいろ工夫はしているのですが……。もっと活発に議論が起こるような雰囲気にするために、できることはあるでしょうか?


 今回の質問のようなケースに限らず、人前でしゃべるとなると、どうしても人は不安になります。聞きたいことや疑問に思うことがあっても、「こんなことを言ってほかの人にどう思われるか」という気持ちはなくならないものです。

 おそらくこの心理は、私たちの祖先がもっと過酷な時代を生きていたころの名残なのでしょう。ヒトは群れや社会にかなり依存して生きる動物なので、周囲に「悪く思われる」ことが死活問題だったのだと思います。「恥をかく」ことは一見どうということがないように思われますが、生活環境が過酷であれば、「恥をかく」ことが生存を危うくした可能性はあります。

 話を戻しましょう。会を進めている人にしてみれば、何の反応もないのは残念なはず。そこで、Twitterのハッシュタグなどを利用して、勉強会の「質問箱」をバーチャルに用意してみるのも一法です。プロジェクタなどを使ってTwitterのタイムラインを移しながら、勉強会を進めるのです。

 最近はイベントなどでも、こういった手法を取り入れた例が増えているようです。ただし、実施する場合には、社外に公開されても問題ない情報のやりとりにとどめましょう。

話題となっているクリス・アンダーソン氏の新刊「FREE」の発売記念イベントでも、同様の手法が取られていました。イベントでは質疑応答の時間も設けていましたが、それ以外はTwitterに流れていく質問の中から、気になったものを登壇者が適宜答えていく、というスタイルです

リアルタイム、かつ「質問による中断」も避けられる

 そもそも、人前で質問できない人の心理には、次の3つがあるようです。

  • あえて時間を取ってするほどの質問かどうかが判断できない
  • 疑問に思うのは自分だけかもしれない
  • 直前には聞きたいことがあったのだが忘れてしまった

 この3点のいずれにも、Twitterなら対応できます。疑問に思った時点で質問を発することができますから忘れませんし、会を中断させる必要はないですし、疑問に思うのが自分だけのような内容なら、運営者がスルーして後ほど個別に答えてくれるでしょう。

 Twitterはもともと「今の状況を独り言のようにつぶやく」というサービスとして始まっていますから、必ずしも「対話」を強制しません。「独り言」なら無視されても、無視してもかまわない。それだからこそ率直な感想を引き出しやすいのでしょう。

 「質問」は話を中断させますし、みんなが聞かなければならず、講演者はその質問に対して答えなければなりません。そういう性質のものだから、質問する側もプレッシャーを感じてしまうのです。

 Twitterはそのプレッシャーを解き放ってくれます。講演者がうまく使えば、会は自然と盛り上がっていくでしょう。そのうちに質問が飛び交うようになります。

今週の「これを減らしてみる」

メール、手紙、話の前置き。「えーと」を一切言わないようにするだけで、会話のスタイルが変わってきます。


筆者:佐々木正悟

 心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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