社内勉強会を開催しても、いまひとつ盛り上がらない――そんなとき、実はTwitterを使ってみるのが有効です。その理由をお話ししましょう。
仕事への意識が高いビジネスパーソンの中には、自発的に社内勉強会などを行っている人も多いと思います。
社内勉強会を開催しても、いまひとつ盛り上がらずに困っています。質問が出やすいようにテーマを設定してみたり、こちらからも問題を提示してみたりと、いろいろ工夫はしているのですが……。もっと活発に議論が起こるような雰囲気にするために、できることはあるでしょうか?
今回の質問のようなケースに限らず、人前でしゃべるとなると、どうしても人は不安になります。聞きたいことや疑問に思うことがあっても、「こんなことを言ってほかの人にどう思われるか」という気持ちはなくならないものです。
おそらくこの心理は、私たちの祖先がもっと過酷な時代を生きていたころの名残なのでしょう。ヒトは群れや社会にかなり依存して生きる動物なので、周囲に「悪く思われる」ことが死活問題だったのだと思います。「恥をかく」ことは一見どうということがないように思われますが、生活環境が過酷であれば、「恥をかく」ことが生存を危うくした可能性はあります。
話を戻しましょう。会を進めている人にしてみれば、何の反応もないのは残念なはず。そこで、Twitterのハッシュタグなどを利用して、勉強会の「質問箱」をバーチャルに用意してみるのも一法です。プロジェクタなどを使ってTwitterのタイムラインを移しながら、勉強会を進めるのです。
最近はイベントなどでも、こういった手法を取り入れた例が増えているようです。ただし、実施する場合には、社外に公開されても問題ない情報のやりとりにとどめましょう。
そもそも、人前で質問できない人の心理には、次の3つがあるようです。
この3点のいずれにも、Twitterなら対応できます。疑問に思った時点で質問を発することができますから忘れませんし、会を中断させる必要はないですし、疑問に思うのが自分だけのような内容なら、運営者がスルーして後ほど個別に答えてくれるでしょう。
Twitterはもともと「今の状況を独り言のようにつぶやく」というサービスとして始まっていますから、必ずしも「対話」を強制しません。「独り言」なら無視されても、無視してもかまわない。それだからこそ率直な感想を引き出しやすいのでしょう。
「質問」は話を中断させますし、みんなが聞かなければならず、講演者はその質問に対して答えなければなりません。そういう性質のものだから、質問する側もプレッシャーを感じてしまうのです。
Twitterはそのプレッシャーを解き放ってくれます。講演者がうまく使えば、会は自然と盛り上がっていくでしょう。そのうちに質問が飛び交うようになります。
メール、手紙、話の前置き。「えーと」を一切言わないようにするだけで、会話のスタイルが変わってきます。
心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。
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