クロネコヤマトはなぜ、最新物流ターミナルで家電を修理するのか?羽田クロノゲート見学記(2/4 ページ)

» 2015年07月30日 08時00分 公開
[吉岡綾乃ITmedia]

ターミナル内で家電を修理「羽田メンテナンスセンター」

 宅急便というサービスの基本は、「集めた荷物を日本中どこでも翌日までに運ぶ」ということ。羽田クロノゲートでは、その立地と最新鋭の設備を生かして「荷物を運ぶ」という基本機能を高めるだけでなく、荷物が流れる過程にプラスアルファの価値を加えるサービスを多数展開している。その一つが、7階にあるヤマトマルチメンテナンスソリューションズの「羽田メンテナンスセンター」だ。

 家電が故障したときに修理を依頼したら、壊れた商品を自宅まで引き取りにきて回収し、修理してまた配達してくれた……という対応を受けたことはないだろうか。この故障品の回収と修理後の配達だけでなく、メーカーに代わって修理業務やコールセンター業務まで行うのがこの「メンテナンスサポートサービス」。修理を請け負うだけでなく、リコールや自主回収の対応も行っている。羽田のほか、茨城、深谷、有明、平和島、北大阪、大阪城東と7カ所のメンテナンスセンターが稼働している。羽田メンテナンスセンターでは、約5,600平方メートルという広いエリアで、国内外3メーカーのアフターサービスを代行している(以下、A社、B社、C社と記述)。

羽田メンテナンスセンターで行う修理業務

 A社とB社は海外家電メーカーで、修理業務を羽田メンテナンスセンターに委託している。修理業務は各社で異なるが、最大のポイントはやはり、メーカー自身で修理業務を行うのに比べ、修理に必要なパーツの管理、修理業務、入出庫の物流業務を一括して行うことで、スピードが速くなること。物流ターミナル内で修理を行うことで、修理品を動かすのに必要な時間を最短にすることができるのが強み。修理受付や修理を複数拠点で行っていた以前の運用に比べ、羽田メンテナンスセンターに修理拠点を集約することで、故障品が入庫してから出庫するまで2日以上短縮された。ユーザーから電話で修理依頼を受けてから回収して修理を行い、修理後の商品をユーザーに配達するまで最短4日を目指しているという。

羽田メンテナンスセンターでの家電修理のようす

 もう一つのパターンが、オフィス機器などの修理に必要な保守パーツを管理し、必要に応じてメンテナンススタッフや修理代行店に送る「保守パーツロジサービス」だ(C社の例)。羽田メンテナンスセンターでは月間平均で約4万ピース以上の保守パーツを出入荷しているが、保守パーツ倉庫をターミナル内に置いて管理することにより、日本全国にいるC社のメンテナンススタッフに最速で保守パーツを届けることができるのだ。普通に宅配便を使うと夕方の集荷締め切りに間に合わなかったパーツは翌日出荷扱いになってしまう。しかし羽田メンテナンスセンターでは1日に複数回の出荷を行っているため、通常の締め切り後の時間帯でも当日中に発送することができる。こうしたことで、翌日届けられる保守パーツが増え、パーツを待っているメンテナンススタッフに効率よくパーツを送ることができる。

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