不採用の理由を「お答えできない」ワケ(2/3 ページ)

» 2015年08月05日 05時00分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]

不採用と判断されるプロセス

 学歴フィルターのように、所属大学名で一次選抜をした場合、偏差値が低い大学だから落としましたと本当のことをいえばまずもめることは必定。このように「不採用の理由」を明らかにしないのは、明らかにすればその後もめることが容易に予想されるからです。

 年齢や性別、出身地などを理由とする選考は法律で禁止されていますが、例えば男性従業員が圧倒的多数の事業所で女性を採用した場合、トイレや更衣室など新たな社内設備を投資するかどうか、企業にしてみれば採用の平等性だけでは割り切れないコスト計算もあります。30歳まで社会に出たことのない新卒学生を、20代半ばの管理職がゼロから社員教育するのは手間もかかるし、何より面倒です。それが正しい理由かどうかは別に、勝手な判断で不採用を決めるというのは、現実には当然あり得るわけで、「勝手な判断」で落としたがゆえに理由開示ができないのは普通なのです。

 選考は決してすべて合理的な理由「だけ」で行われるわけではありません。会社側、特に選考する人間の意志が大きく影響します。ほぼ同じような学歴や能力だと判断された場合、「何となく感じが良い」と思われた人を採用するのは当然あり得ます。理由は清潔感だったり、顔の良し悪し、服装センスなどさまざまでも、それをストレートに「ちょっと雰囲気がキモいんで」とか「イケメンのほうがお客さん受けするので」と真の理由を説明することはできません。

 そこまで至らずとも、面接での会話がトンチンカンだったり、面接練習でもよくいるしゃべりたいことだけをしゃべる学生や、自己アピールだらけで、結果として会話(コミュニケーション)が成立たない学生などは、本人が自信を持っているだけに「コミュニケーションが下手だから」と本当のことをいえば、もめる可能性が高いのです。

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