インタビュー
» 2015年08月11日 08時20分 UPDATE

日米のビジネス事情の違いを知る:3Dプリンターで回路基板を製作、NY発のベンチャーが狙う日本市場 (1/9)

米国でビジネスに力を入れる日本人起業家や、日本とのビジネスに興味を持つ外国人と対話する「アントレプレナー対談。日米のビジネス事情の違いを知る」。今回は、ニューヨーク発のハードウェアスタートアップ「BotFactory」のCEOをゲストに迎えました。

[公文紫都,ITmedia]

 ニューヨークでSix ApartのCEOを務める傍(かたわ)ら、新規事業に取り組む関信浩氏が、米国でのビジネスに力を入れる日本人アントレプレナー(起業家)や、日本とのビジネスに興味を持つ外国人と対話する「アントレプレナー対談。日米のビジネス事情の違いを知る」。

 第4回は、ニューヨーク発のハードウェアスタートアップ「BotFactory」のCEO、Nicolas Vansnick(以下、ニコラス)氏をゲストに迎えます。BotFactory社は、回路基板をプリントし部品も配置する3Dプリンター「Squink(スクインク)」の開発、提供を行っています。同製品は、2014年夏に実施した「Kickstarter(キックスターター)」への出品を通じ、10万380ドル(約1238万円)の資金調達に成功しました。ニコラス氏と、ニューヨークを拠点にスタートアップを立ち上げた理由、キックスターターを利用するメリット、現在関心を寄せているという日本市場についてなどを議論しました。

Nicolas Vansnick(ニコラス・ヴァンスニック)氏

 ニューヨークを拠点にするハードウェアスタートアップベンチャー『BotFactory』の共同創業者兼CEO。ベルギーのルーヴェン・カトリック大学で電気機械工学修士を取得後、渡米。ニューヨーク大学技術工科大学院に入学し、電気電子工学修士号を取得。在学中に、同大学主催のコンペティション『イノベンション』に、「電子部品向けの3Dプリンター」というアイデアで参加。2013年の受賞チームとなる。同時に、大学の友人、教授を含め3人でBotFactoryを創業。2014年7月に、米国のクラウドファンディングサービス『キックスターター』に自社製品の『Squink』を出品し、10万ドル以上の資金調達に成功。ベルギー出身。


クラウドファンディングのメリット

関: 会社概要と現在手掛けているサービスについて教えていただけますか?

ニコラス: 私たちは、2013年2月にニューヨークで創業したハードウェアスタートアップで、現在は「Squink」という名前の3Dプリンターの開発、提供を行っています。この3Dプリンターが1台あれば、デスクトップ(机の上)で簡単に、回路基板の設計から基板のプリント、さらには回路基板に必要な部品のピッキング、接着、組み立てといった一連の作業を行うことができます。アイデアを思いついたらその場で、電子回路のプロトタイプを作れるのが特徴です。

 類似品を提供している競合他社の多くは、回路基板のプリントしかできないのですが、Squinkは1台ですべての工程を終えることができます。しかもそれらの作業にかかる時間は、30分程度(実際の作業時間は、最短で15分ほど。定着に15分ほどを要する)。短時間で簡単に回路基板の設計から完成まで持っていけるところが、Squinkの魅力だと考えています。

関: Squinkの市場デビューは、2014年夏に実施したキックスターターでしたね。

ニコラス: はい。私たちのようなハードウェアスタートアップにとって、キックスターターを使うメリットは、資金調達面だけではなく、「果たしてこの仮説は合っているのだろうか?」と検証できるところにもあります。開発者は人々の役に立つ優れた製品だと思ってプロジェクトを進めていますが、世の中に問いかけてみないことには、それが本当に人々に役立つ製品なのか、そして誰がそれを求めているのか分かりません。キックスターターを使うことで、そうした疑問を解消することができます。

関: なるほど、クラウドファンディングのメリットは、“資金集め”に注目が集まりがちですけれど、お客さんのニーズや顧客ターゲットを探るなど、“ビジネスモデルを検証できるところにもある”ということですね。

yd_usa2.jpg BotFactory社の独自3Dプリンター「Squink」。既存の3Dプリンターを使って短時間で製作可能
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