敷地の拡大や店舗の厳選など、京都BALのリニューアルに際して大胆に見える指揮を執った中澤氏。その決断の背景には、長年の経験則から導き出された同氏のポリシーがあった。
「こうした商業施設が生き残るには、どれだけナンバーワンブランドを入れられるかが勝負のカギです。ナンバーワンブランドはコンセプトが明確で自分たちのスタイルを持っているから、常に揺るぎない価値を提供できる。今回入れたテナントは、7割以上が各カテゴリーのナンバーワンブランドになっています。金太郎飴みたいなどこかで見たような店舗のラインアップでは、お客さんもすぐ飽きてしまいますからね。
その上で、こちらからは各ブランドの世界観を十分に発揮・発信できるスペースと空間を用意し、店舗側には入念にコンセプトやデザインを練り上げてもらいました。どの店舗も同ブランドの他の店舗とは一味違った、BALらしいオンリーワンの空間となっています」
京都BALのスタートはデザイナーズ・ブランドの全盛期。あれから40年以上の時が経った今、中澤氏は「衣料のトレンドをつかむのが一番難しい」と言う。
「1970年の時は、皆が洋服に飢えていた時代だったんです。だから『右向け右』とでも号令をかけたようにデザイナーズ・ブランドが売れました。あの時と今では状況がまったく違う。自分の好きなモノを自ら探して選ぶようになったから、昔より今のお客さまのほうがはるかに目が肥えてきていますね。だから、衣料のブランド選定は本当に難しいです。ここの選び方を間違えると、店舗も施設も3年と持たない。今回、京都BALに入れた店は、どこも10年20年は続いていくと思ってますよ」
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