セブン&アイとイオン、流通2強時代はまだ続くのか?明暗くっきり(1/2 ページ)

» 2015年04月08日 08時00分 公開
[伏見学ITmedia]

 流通・小売業界の両雄であるセブン&アイ・ホールディングスとイオン。ここへきて業績の差がますます鮮明になりつつある。

 セブン&アイが4月2日に発表した2015年2月期通期の連結決算(関連記事)は、営業収益が6兆389億4800万円(前年同期比7.2%増)、営業利益が3433億3100万円(同1.1%増)、当期純利益が1729億7900万円(同1.5%減)で、営業収益と営業利益は過去最高を更新した。

 一方、イオンは3月23日に連結業績予想の修正を発表(関連記事)。2015年2月期通期の営業収益は変更なく7兆円としたものの、当期純利益は従来予想の480億円から350億円(前期比23.2%減)に、営業利益は2000億〜2100億円から1400億円(同18.3%減)と下げた。

イオンが発表した2015年2月期の連結業績予想の修正 イオンが発表した2015年2月期の連結業績予想の修正

 なぜこれほどまでに差が広がったのか。楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジストの窪田真之氏は「イオンはGMS(総合スーパー)事業が主体、セブン&アイはコンビニエンスストア事業が主体であることが大きな理由」とする。

 イオンのGMS事業は2015年2月期第3四半期決算で289億2400万円もの営業損失を計上した。ただし、イオンに限らず総合スーパー市場全体を見ても、消費税増税後の消費低迷などの影響で厳しい状況が続いている(関連記事)。実際、セブン&アイにおいても、スーパーストア事業(イトーヨーカドーなど)は営業利益で前年比34.8%減の193億4000万円と大きく落ち込んでいる。

海外展開もスムーズ

 かたや、セブン&アイの屋台骨であるコンビニ事業(セブン-イレブン)は、営業利益が前年比7.5%増の2767億4500万円と絶好調で、コンビニ業界全体でも一人勝ちの様相だ。

コンビニ業界でもセブン-イレブンは一人勝ち コンビニ業界でもセブン-イレブンは一人勝ち

 セブン-イレブンの強みの1つは、「現場の声や販売データを重視し、需要密着の商品開発を続けていること」だと窪田氏は説明する。小売業において長期的な需要の構造変化を正確に予測することは難しいが、セブン-イレブンは毎日の販売データを見ながら、商品戦略を少しずつ見直すことで、結果的に5年、10年といった大きな構造変化にも的確に対応しているという。

 また、海外でも通用するビジネスモデルにしたことが大きいという。

 「米国のコンビニ子会社(7-Eleven)は、日本の経営スタイルを導入することで営業利益596億円を稼ぐ会社に成長した。2015年2月末時点で国内に1万7491店舗、海外には地域ライセンシー店を含めると3万7790店舗と国内の2倍以上。海外展開はファミリーマートも進んでいるが、基本的に同社は現地の小売大手と共同出資で事業展開している。そのため日本のモデルをそのまま輸出できていない。例えば、韓国では共同出資先との経営方針の相違もあり、出資を解消して撤退せざるを得なかった」(窪田氏)

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