若者が答えを「盛る」といって、誇張することがありますが、そもそもそこで聞きたいのは答ではありませんから、実は盛ろうが盛るまいが、採否には関係ありません。結局原形をとどめないほど盛っても、説得力ある「考え方」を伝えることができるなら自己責任でやっても良いでしょうが、普通は無理です。
理系学生の面接指導をする機会が多いため、特に大学院生が多い理系学生は、そもそもバイトもサークルにも入らず、研究に取り組んでいる人が多いのですが、それこそ盛る必要がないのです。理系大学院生を採用するような、その多くは大企業で、バイトをしたかサークルをやったかで採用を決めるような企業はありません。
問われているのは「答」ではなく、どう「応え」るかです。地道な研究活動に打込んでいること、研究活動を通じての気付きや人間関係、目標設定やベンチマーキングなど、それこそ企業活動に直結するエピソードは、実は研究室内にいくらでも転がっているのです。
親を尊敬するなという意味では全くなく、「尊敬する人物が親」と答えたことによって、どんな思考が伝えられるでしょうか。「親孝行な人」くらいの印象は伝わるかもしれませんが、面接では数限りない人が「親」と答えています。親孝行だから採用ということはまず考えられませんし、面接官の気持ちとしては、そもそも親以外に尊敬する人はいないのかと思ってしまいます。
面接は企業から採用したいという評価を得るための場です。少なくとも幹部や新卒でも将来の幹部候補になる有名大学の学生であれば、「親を尊敬している」という答えを通じて、企業にアピールできる思考や能力を伝えるのは、至難の業でしょう。むしろビジネス界の偉人や歴史上の人物といった方が当たり障りもなく、なおかつ自分の慎重さや忍耐力、目標設定や実行力などをアピールするのにはずっと楽だと思います。
そうであれば、説明も難しく、アピールにもつながらない「親」ではなく、親の次に尊敬している人物を挙げてはどうでしょう。要は企業が欲しいと思える能力アピールになるかどうかでの判断です。いい歳した転職希望者が、面接で親と答えているようでは、およそ幹部社員としての登用は難しいでしょう。
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