では、なぜ鉄道会社は赤字のイベントを実施するのだろうか。理由の1つは「ファンサービス」。もう1つは「地域貢献」だ。
ファンサービスは、鉄道ファンの欲求に応えること。鉄道は事業の対象がファンではない、という構造になっている。鉄道会社のお客さまは鉄道ファンではない。通勤や通学、旅行などの用事で乗ってくれる人だ。あるいは貨物の荷主である。鉄道ファンのために走っているわけではない。写真を撮りたいからもう少し停まっていてくれと言っても待ってくれないし、職員に話し掛ければ業務妨害となる。
鉄道ファンは鉄道に近づきたいけれど、鉄道はそれを歓迎しない。でも、鉄道会社も職員も、鉄道ファンを大切に思っている。だから年に何回か、限られた日だけはファンの欲求を満足させてあげたい。今までは個々の社員が臨機応変にファン対応をしてきた。しかしそれは本来の業務ではないから、正々堂々とできなかった。国が鉄道の日を制定してくれたおかげで、鉄道会社はファンサービスをやりやすくなった。
今ではグッズについては通年販売する会社も多いし、車両基地公開も春の大型連休や夏休みなども行われている。鉄道会社のファンサービスが増えていて、とても喜ばしいことだ。こうした動きは鉄道の日制定以降に増えている。
東武鉄道南栗橋車両管区の一般公開。車両から離れて規制ロープがあり、一度に多くの人が撮影できる
西武鉄道の銀河鉄道999プロジェクトに「原作愛」はあるか
アニメ大好きな西武鉄道が、また新しいプロジェクトを立ち上げた。しかし今回は主役ではなく参加者側。「銀河鉄道999 現実化プロジェクト」という大きな枠組みの中で、鉄道現業部門として参画する。夢は大きく広がるけれど、原作ファンとしては心配なところもある。
汽笛一声「愛の出発式」、SLブライダルトレインの魅力
日本旅行と大井川鐵道がブライダルビジネスに参入した。駅で結婚式を挙行した後、SL列車で宴会を実施するブライダルプランだ。鉄道ならではの仕掛けが満載。しかし趣味に偏らず、新郎新婦、出席者にとって、末永く記憶に残る結婚式となった。
企画力と実行力の祭典「鉄旅 OF THE YEAR 2014」の名作を見よ
一昨年に引き続き、2014年も「鉄旅 OF THE YEAR」の審査員を拝命した。旅行会社が企画する「鉄道の旅」のコンテストだ。2014年度のキーワードは、「最高の旅のさらに上」と「難易度の高いツアーのパッケージ化」だ。担当者の創意工夫に感動した。旅行業、鉄道業だけではなく、企画に携わるすべてのビジネスマンの参考になりそうだ。
大井川鐵道に『きかんしゃトーマス』がやってきた本当の理由
ファンの「いつかは日本で」の願いが叶った。2014年7月2日、大井川鐵道が『きかんしゃトーマス』の試乗会を開催。実際の鉄道でトーマスが運行したのは、英国、米国、オーストラリアに続いて4番目。アジアでは初めて実現した。なぜトーマスが日本で走り始めたか。表と裏の理由を明かそう。
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