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» 2015年10月23日 09時15分 UPDATE

「産業構造が大きく変わる」 経産省が取り組むCPS推進戦略とは? (1/3)

経産省は10月23日、産官学の連携で「IoT推進ラボ」を設立した。同省の狙いとは何か。詳しい話を商務情報政策局・情報経済課長の佐野氏が語った。

[鈴木亮平,ITmedia]

産業構造の転換期を迎えた

 われわれは長い歴史の中で、産業におけるいくつかのパラダイム転換を経験してきた。蒸気機関による機械化、電力の活用による生産性の向上、コンピュータの普及による自動化。そして今、世の中のあらゆるものがインターネットにつながる技術革新によって、新たな産業革命が起ころうとしている。

 現在、ネットワークにつながっているデバイスは約180億個。センサーの小型化などによって、生活空間に存在するあらゆるモノがネットワークにつながり、その数は5年以内に500億個以上に達するといわれている。また、同時に情報処理速度や記憶容量も今まで以上に進化する。こうした背景から、実世界のデータを大量に蓄積でき、サイバー空間でさまざまなシミュレーションが行えると期待されている。

 ビッグデータを分析・検証し、最適解を出して実世界にフィードバックする。そして、フィードバック後のデータもまた分析・検証して再び実世界へ戻す。この循環するシステムのことを「Cyber Physical System(CPS)」という。このCPSが大きな産業構造の変化をもたらすと予見されているのだ。

 世界では、CPSの流れに対応するため、さまざまな動きが既に始まっている。ドイツは2011年に、開発、製造、流通のプロセスをIoTにより全体最適化する「インダストリー4.0」と呼ぶ国家政策を打ち出した。インダストリー4.0では、工場を全自動化するスマートファクトリーの実現を目指し、シーメンス、ボッシュ、フォルクスワーゲン、ドイツテレコムなどドイツの主要企業が参加している。

 米国では、米GEが産業機器をインターネットにつなぎ、データ解析による高度な意思決定を可能とする「インダストリアル・インターネット」を提唱し、100社以上と「インダストリアル・インターネットコンソーシアム」を形成した。GEはセンサーから取得したデータを解析し、機器・設備の高度な制御を行うアプリケーション「Predix」を開発しており、石油ガス、電力、航空、医療などの24の分野向けに提供している。また、米Googleは自動走行、ロボットなど、サイバーから実世界へと進出し始めた。

 そうした中、日本も後れをとらずにCPS時代に必要なビジネス戦略を打ち出していかなければならない。実際、日本企業はEコマースやSNSなど、ITを活用した新たなプラットフォーム型ビジネスにおいて、グローバルではシェアを確保できず、米国企業が世界規模でプラットフォームを確立している状況にある。このような失敗を繰り返さないために、日本では経済産業省が旗振り役となり、CPSを推進するための戦略を打ち出した。

CPSによるデータ駆動型社会の概念図(出典:経産省) CPSによるデータ駆動型社会の概念図(出典:経産省)
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