世界経済の行方を握る? 注目される産業用ロボット来週話題になるハナシ(1/3 ページ)

» 2015年10月27日 08時00分 公開
[藤井薫ITmedia]

来週話題になるハナシ:

 24時間365日、いまも世界のどこかでユニークで刺激的な話題や新しいトレンドが次々と生まれている。だが、大半は情報としてこぼれてしまっている。そんなメインストリームでない情報こそ、ビジネスで使えるネタが詰まっているのではないだろうか。

 そこで、情報感度の高いビジネスパーソンならば、ぜひとも押さえておきたいトレンドや話題をちょっと先取りして紹介したい。プライベートにビジネスに、ちょっとしたインスピレーションのネタとして、役立つハナシを探るコラム。


 産業革命によって製造業は人の手から機械に変わり、モノ造りの現場は目覚ましい発展を遂げてきた。そして、時代はいま新しいタイプの産業用ロボットの導入が進んでいる。

 現在、世界中の工場で稼働している産業用ロボットの数は、約150万台とも言われている。意外に知られていないが、産業用ロボットの稼働数で世界のトップをいくのが日本だ。International Federation of Robotics(IFR/国際ロボット連盟)の2014年の統計によると、日本で稼働している産業用ロボットは30万6700台になる。

 世界的にみると、産業用ロボットの多くは、重いパーツを持ち上げたり、溶接や塗装など、自動車の生産ラインで利用されている。しかし近年は、他の産業でも産業用ロボットの導入が加速している。目覚ましい技術革新により、軽量でコンパクト、マルチタスクに対応でき、より繊細な作業をこなすことが可能な産業用ロボットが登場しているからだ。

 そんなことから、産業用ロボット業界は勢いに乗っている。世界全体で産業用ロボットの売り上げは、2014年に前年比13%増の107億ドル(約1兆2963億円)になった。そして現在も、国際競争力を上げる救世主として、産業用ロボットには世界から熱い視線が注がれている。

 なぜいま産業用ロボットが注目されているのか? それはテクノロジーの進化によって、産業用ロボットを導入できる現場が増えているからだ。新しいタイプの産業用ロボットは、今まで手作業でしかできなかったような細かい作業が可能で、さらに人と共同作業ができるように設計されているのが特徴だ。

 例えば、スイスの「ABB」社や米国「Rethink Robotics」社の、人の腕のような双腕型と呼ばれるアームが2つある産業用ロボットだ。まるで人の手のように、小さなパーツをつかむことができ複雑な作業が可能になっている。すでに医療系、楽器、時計、日用品、オモチャなど細かい作業が行われる製造現場で導入されており、さらなる需要が見込まれている。

最新の産業用ロボットは細かい作業もできるようになった(出典:ABB)
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