インターンシップと就職の関係(1/4 ページ)

» 2015年11月05日 10時46分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:

増沢隆太(ますざわ・りゅうた)

 RMロンドンパートナーズ(株式会社RML慶文堂)代表取締役。東京工業大学特任教授、コミュニケーション戦略家。人事コンサルタント兼大学キャリア教官兼心理カウンセラーで、東工大大学院では「コミュニケーション演習」の授業を行っているほか、企業では人材にも「戦略性」を重視する功利主義的アクティビティを提唱している。


 インターンシップは何のためにあるのか――。当然のことですが、就業体験というのがインターンシップそのものであり、目的でもあります。ですが実際にインターンシップをもって事前選考をしたり、そもそもインターンシップをしないとエントリーできない企業があるのも事実です。また大学によっては単位認定する「科目」としてインターンシップがある場合もあります。さらには3カ月程度〜半年滞在し、プロジェクト的な一回りを果たす、主に理系博士学生向けの長期インターンシップもあれば、ワンデーインターンシップという、1日限りのものもあります。

 要は何を持ってインターンシップかという定義がないのです。「インターンシップである」といった者勝ちなのが、今の状況です。その結果、採用選考の一環として強くリンクしたもの(主に1カ月未満の短期)と、単位や研究と結び付く(主に1カ月以上の長期)本来のものがごっちゃになっていることが、学生を惑わせています。またそのインターンシップがどちらを目的としたものなのかも明確にしない企業姿勢がこの困惑に輪をかけます。インターンシップと呼ばれても、その中身はかなりの幅があるのです。

 長期インターンシップでも、その後インターン先企業に就職する例は多く、特に文部科学省が主導した博士人材/ポスドクキャリア支援では多数の理系博士学生とポスドクが民間企業に就職しています。また経産省が援助して始まった中長期人材育成協議会でも、同様に長期インターンシップを支援しています。しかし採用と強くリンクした短期インターンシップで参加社全員を採用するのではないのと同様に、長期インターンシップをした参加者も、全員が入社した、採用されたとは言い切れない現実もあります。

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