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» 2015年12月03日 08時00分 UPDATE

世界を読み解くニュース・サロン:シリア難民問題から感じる「メディア」への違和感 (1/4)

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のトップが来日した。フランス同時テロ後だったので、日本のメディアはこぞって取り上げたが、筆者の山田氏は一連の報道に違和感を覚えたという。なぜなら……。

[山田敏弘,ITmedia]

世界を読み解くニュース・サロン:

 今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。

 欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。


 2015年11月25日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のトップであるアントニオ・グテーレス高等弁務官が来日した。フランス同時テロ後に難民をどう受け入れるのかという議論が世界的に再燃しているタイミングでの来日ということで、日本のメディアもこぞって取り上げた(来日の目的にはUNHCRを通した難民支援を発表した衣料品ブランド、ユニクロとの共同会見もあった)。

 今年いっぱいで退任する予定のグテーレス高等弁務官は東京で記者会見に出席し、「日本政府には、特にシリア人の人道的受け入れや日本で再定住する人々を増やすよう行動を求めたい」と語ったと報じられている。さらに「日本社会で難民の認定と融合、受け入れを効果的にする」ために「難民システムに革新的な改善」が必要だとも指摘した。

 著者の知る限り、グテーレス氏の来日について、日本の報道はUNHCRトップが日本政府に改善を求めたという話に終始しているようだ。もちろん、日本は今回のシリア内戦に端を発する難民問題に欧州諸国のように寛大な受け入れ表明をしておらず、国際社会の一員としての自覚という意味でも、今後グテーレス氏の指摘するように支援についてきちんとした議論をする必要がある。

 しかし、今回のグテーレス氏来日にからむ報道(特に大手新聞)には多少違和感をもった。体制側へのチェック、ともすれば粗探しが報道の役割であるのも分かるし、限られたスペースで情報を取捨選択しているのも理解できる。だがそれでも、グテーレス氏来日の報道は少し偏っているような気がしてならない。

 今回のグテーレス氏の来日で、報じられていない情報にはどんなものがあるのだろうか。そういう情報を確認することで、改めてUNHCRは日本をどう評価しているのか、そして日本が難民問題にどう対処しているのかを探ってみたい。

シリア周辺国へ逃れたシリア難民の数が400万人を超えた(2015年7月、出典:UNHCR)
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