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» 2016年05月13日 08時00分 UPDATE

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:「TRAIN SUITE 四季島」の価格は世界トップクラス、サービス内容は見合っているか? (1/5)

JR東日本がクルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」の運行概要を発表した。同期デビューの「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」、運行中の「ななつ星in九州」と合わせて、「クルーズトレイン御三家」が出そろった。お互いにライバル、そして海外の観光列車との競争になる。

[杉山淳一,ITmedia]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP


 5月10日、JR東日本は公式サイトでクルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」の運行概要を発表した。既に車両、食事サービスなどについて小出しに発表されており、今回の発表は事前キャンペーンの節目となる。

2014年6月、車両のコンセプトデザインが決定(出典:「TRAIN SUITE 四季島」公式サイト) 2014年6月、車両のコンセプトデザインが決定(出典:「TRAIN SUITE 四季島」公式サイト

 運行コースは2種類。上野を出発し、北海道に上陸、登別まで到達して上野に戻る3泊4日コースと、上野を出発し、日本3大車窓の姨捨(おばすて)駅で夜景を楽しみ、翌朝は会津若松を巡って上野に戻る1泊2日コースだ。これらは春から秋までの旅程だ。このほかに、報道資料には記載されていない「冬のコース」がある。公式サイトによると、上野を出発し、行きは松島を経由して弘前へ至り、帰りは鳴子温泉に立ち寄って上野に戻る2泊3日コースがある。

 鉄道の旅として最上級のおもてなしを実現するため、価格設定も強気である。いや、旅の価値に即したリーズナブルな設定と言うべきか。客室はすべて2人用スイート。部屋のグレードは3種類。3泊4日コース、最上級の部屋「四季島スイート」を利用する場合、2人1室利用で1人あたり95万円。最も安価なプランは1泊2日コースの「スイート」で、2人1室利用で1人あたり32万円だ。

 スイートは1人でも利用可能で、その場合は割り増し料金となる。3泊4日コースでスイートを1人利用の場合は最高115万5000円で、これがこの列車で最も高額な料金設定だ。誰にも邪魔されず、1人の時間を満喫できる。実に贅沢(ぜいたく)な時間となるだろう。

2013年6月に構想が発表された当時のイメージイラスト(出典:JR東日本プレスリリース) 2013年6月に構想が発表された当時のイメージイラスト(出典:JR東日本プレスリリース

青函トンネルの通過時刻に工夫あり

3泊4日コースの路線図(出典:「TRAIN SUITE 四季島」公式サイト) 3泊4日コースの路線図(出典:「TRAIN SUITE 四季島」公式サイト

 TRAIN SUITE 四季島のスケジュールを見ると、かなり練り込まれていることが分かる。私はまず、3泊4日コースの青函トンネル通過時刻に注目した。行きは函館駅に6時20分ごろ着。これは納得だ。この春まで走っていた「カシオペア」の函館着時刻は6時35分だった。そのダイヤを踏襲しているようだ。

 ところが、本州に戻る時間帯は新函館北斗駅を13時30分ごろ発、青森駅に16時40分ごろ着となっている。明るい時間帯に海底トンネルを通るダイヤだ。青森〜函館間は海底トンネル以外にもトンネルが多い。車窓が期待できないから、ここは夜間早朝に通過すると予想していた。ちなみにカシオペアの上り列車は21時12分に函館を発車し、青森駅に23時40分着だった。ちょっと夜ふかしすればラウンジ展望車から、函館、青森で機関車交換を眺められた。

 TRAIN SUITE 四季島の青函トンネル通過時刻は、全体の日程を考慮した上で、ここしかない、という時間帯かもしれない。しかし、青函トンネルはTRAIN SUITE 四季島にとって動かしにくい地点だ。先にこの区間をカシオペアになぞらえて設定し、それから全体のスケジュールを組む、という方法が順当だったはず。

 なにしろ日中の青函トンネルは、新幹線と貨物列車が行き交う。そのすれ違いのために新幹線の速度を下げるなど配慮されている。隙間を見つけるほうが難しい。TRAIN SUITE 四季島について、JR東日本、JR貨物、JR北海道の調整には苦労したと思われる。

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