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» 2016年07月08日 08時00分 UPDATE

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:JR九州上場から、鉄道の「副業」が強い理由を考える (1/6)

JR九州が東京証券取引所に上場を申請した。鉄道部門は赤字のまま。しかし副業のマンションやホテル、飲食店が好調だ。阪急電鉄や東急電鉄の成功以来、鉄道会社は副業とセットで成長してきた。しかしその形態は変化している。小林一三モデルではない、新たな相乗効果を模索する時代になった。

[杉山淳一,ITmedia]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP


 和歌山県に「紀州鉄道」という会社がある。紀州というからには紀伊半島一帯に路線網があると思ってしまうけれど、実は2.7キロメートルしかない、非電化単線のローカル私鉄だ。

紀州鉄道の気動車(2004年11月当時) 紀州鉄道の気動車(2004年11月当時)

 JR西日本の紀勢本線・御坊駅を起点とし、御坊市市街地を南北に縦断して西御坊駅に至る。官営鉄道の駅が市街地から離れていたため、地元の大地主が発起人となって設立した「御坊臨港鉄道」がルーツ。かつては日高川河口付近が終点だった。しかし西御坊〜日高川駅間の0.7キロメートルは1989年に廃止された。ケーブルカーを除いた普通鉄道として、日本で一番短い路線の鉄道会社としても知られていた。その日本一も成田空港付近の芝山鉄道に奪われてしまった。

 紀州鉄道は延長3キロメートルに満たない。業績も好調とは言えない。非上場会社のため業績は公開されていないけれど、開業当時から業績不振、戦後の好景気時を除いては苦しい経営が続いた。日本一の赤字鉄道と自ら喧伝した時期もあった。年間の赤字は4000万円と報じられたこともある。

 それでも1931年の開業以来、85年以上も運行を続けている。今のところ廃止の動きはないし、地元自治体に対して第三セクター化や上下分離の打診もない。減便などのコスト削減はあったものの、現在は1日に22往復の運行だ。私が2004年に乗った気動車は廃車となっており、信楽高原鉄道と北条鉄道から中古気動車を購入している。

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