4000万人がやって来る 外国人が驚く、インバウンド事情

TOTOが成田空港に“最新トイレ”を設置するワケ水曜インタビュー劇場(トイレ公演)(1/7 ページ)

» 2016年07月13日 06時36分 公開
[土肥義則ITmedia]
成田空港の「GALLERY TOTO」

 成田空港で出国を待つ外国人を見かけたら、お聞きしたいことがある。「Youは何しに日本へ……」ではなくて、「Youは空港内のトイレを使ったかい?」と。

 「いきなりトイレの話かよ。昼飯を食っているときに、まったく」と思われたかもしれないが、もうしばらくお付き合いいただきたい。成田空港内に、近未来のトイレがあるのをご存じだろうか。その名は「GALLERY TOTO」。自動でトイレのフタが開いたり、便座が温まったり、節水機能が付いていたり――。最新の機能を体験できるだけでなく、壁にダンスをする人の映像が映し出されたりするので、初めて見た人の多くは「ここは本当にトイレなの?」と思うだろう。

 実際に利用した人からは「テクノロジーや最新技術が用いられていて、びっくり」「空間が大きく開放感がある」といった声が聞かれる。それにしてもである。なぜTOTOは空港内にこのような施設をつくったのだろうか。

 「ははーん、インバウンドを狙っているんでしょ。たくさんの外国人がやって来るので、トイレを使ってもらうと“指名買い”が増えているのでは」と推測されたかもしれないが、半分正解で半分不正解。「たくさんの外国人に使ってもらう」は正解だが、すぐに購入に結び付くわけではない。では、なぜに? その答えは、同社のすぐに結果を求めない……いや、求めてはいけない掟があるからだ。

 TOTOの海外展開はかなり早く、1977年にインドネシアへ進出した。しかし、2015年3月期の海外売上高比率は22%にとどまっている。「なーんだ。たいしたことないな」と思われたもしれないが、早合点は禁物である。ここ数年を振り返ると、海外売上高比率はジワジワと伸びている。いや、そもそも売り上げが急激に伸びるビジネスモデルではないのだ。

 農作物の収穫に例えると、畑を耕し、種をまき、水をまく。次に、芽が出てきて、大きくして、収穫する――。といった一連の流れを踏んで、ビジネスを大きくしてきたのだ。勘のスルドイ読者はもうお気づきだろう。「成田空港に設置している体験型のトイレは、“畑を耕している”ようなものね」と。

 TOTOは世界中で畑を耕しているわけだが、その中で堅調に数字を伸ばしてきたのが中国である。2015年度の売上高は625億円。中国景気がやや低迷していることを受け、ここ数年の売り上げは減速気味だが、それでも海外の中で断トツ。なぜ、TOTOのトイレは中国で支持されているのか。同社広報部の山下名利子さんに話を聞いた。

GALLERY TOTOのブース内

特集まとめ読み特別冊子 プレゼント応募フォーム:

 『『4000万人がやって来る:外国人が驚く、インバウンド事情』』の特集記事をまとめた電子冊子(PDF)を、特集終了後にプレゼントいたします。

 →応募はこちらから。


       1|2|3|4|5|6|7 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.