総合ディスカウントストア、ドン・キホーテに来店する訪日客が増え続けている――。2014年の訪日客数は月間で約5万人だったが、その数は順調に伸び続け、今年に入ってからは月間で20万人以上の訪日客が来店している。免税客単価も約1万5000円と、国内客平均よりも約5.6倍高く、中国人客に絞ると8.5倍も高くなる。店舗によっては売り上げの半分を免税品が占めるなど、まさに同社の業績を訪日客が後押ししているのだ。
このように同社はインバウンドをうまく味方につけたわけだが、その成功要因はどんなところにあるのだろうか。
年間訪日客数が4000万人を突破するかもしれない2020年に向け、多くの訪日客を自社に呼び込み、売り上げを伸ばしたいと考える企業は、同社の取り組みから成功のヒントを得ることができそうだ。
ドン・キホーテがインバウンド事業に力を入れ始めたのは2008年。当時はまだインバウントという言葉が普及していない時期であったが、今後、アジア圏を中心に訪日客が増えていくことを見据え、インバウンド専門の部署を立ち上げたという。
他の流通業界に先駆けて、多くの中国人が決済時に使用する銀聯(ぎんれん)カードを導入した他、多言語対応のスタッフ配置と、店内放送、コーナーPOP、そして24時間対応のコールセンターを設置している。
このほか、インバウンドを成功させた要因には、訪日客をドン・キホーテがあるエリアに呼び込むための案内地図「ようこそマップ(多言語表記)」と同店で使える割引券「ようこそカード」の存在がある。自社だけでなく、他店も含めて紹介し、エリア全体を盛り上げていく必要があったという。
当時、中国ではドン・キホーテの存在を知る人はほとんどいなかった。「自社の努力だけではどうにもならない」として、「地域連携」による戦略を考えたのだ。他の飲食店などと連携し、その店の特典情報などを掲載した。その狙いについて、同社のインバウンド戦略責任者の高島健太郎ゼネラルマネージャーは次のように語る。
「知名度もないのに『ドンキに来てください』と呼びかけても全く通用しない。訪日客の目線で考え、まずは、そのエリアに興味をもってもらう必要がありました。その先で『ようこそカード』(割引券)でうちの店に来てもらおうとしたわけです」(高島氏)
マップとカードは旅行会社を通じて配布した。訪日客にとって有益な情報なら目を通してもらえる。すぐに結果に結びついたわけではなかったが、徐々に知名度が上がっていき、結果的に多くの訪日客を呼び込むことへとつながったという。
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