どうして仕事が、やり直し、差し戻しになってしまうのか。それを防ぐために重要な、準備段階での「結果を出す“下ごしらえ”」について、たくさんの取材経験から考えてみる連載第3回。
第1回、第2回では、それぞれ「目的」「ターゲット」というキーワードを掲げたが、第3回のキーワードは「アウトプットイメージ」だ。
上司であれ、取引先であれ、お願いされた仕事の「アウトプット」について、そのイメージを確認しておく、ということである。どのような仕事の全体像なのか、しっかり理解しておくことだ。
そんなことは当たり前に思えるが、意外にこれができていなかったりするのである。例えば取材で耳にしたのは、こんな例。上司から、ある商品カテゴリーの直近の売り上げ推移について、まとめてグラフ化を命じられた。
頼まれた本人が頭の中に描いた「グラフ」は、棒グラフ。直近といえば3年。商品カテゴリーの種類ごとに積み上げ式でビジュアル化することを考えた。エクセルで緻密(ちみつ)に作成をしなければ、とイメージした。
ところが上司が求めていたのは、折れ線グラフ。過去10年にさかのぼって、商品がどのような推移をしたか、ざっと見られるもの。となれば、その商品を扱う業界全体の動きとの違いも一緒に見たい。丁寧なものを作る必要はなく、ざっくりとした手書き的なものでもよい、とイメージした。
同じ「ある商品カテゴリーの直近の売り上げ推移についてのまとめグラフ」も、仕事を発注する側と、仕事を受け取る側で、そのイメージがまるで違ってしまっていたのである。
これでは、実際にグラフを作って持っていったとき、「うーん、ちょっとイメージが違うんだよ」と上司に言われ、差し戻しをくらってしまっても仕方がない。実際、そういうことが起きてしまったのだ。
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