上司から「OK」をもらう人、「NO」を突きつけられる人――どのような違いがあるのか結果を出す“下ごしらえ”(4/5 ページ)

» 2016年08月05日 06時00分 公開
[上阪徹ITmedia]

アウトプットの全体像を意識しておくこと

やり直し・差し戻しをなくす できる人の準備力』(著・上阪徹氏/すばる舎)

 こうしてアウトプットイメージの共有を図っていく場は、いわゆる打ち合わせだ。このとき、注意しなければいけないことがある、と語っていたのは、ある広告クリエイターだった。それは、ディテールにとらわれて過ぎてはいけない、ということだ。

 超多忙な彼は、デスクの上でアイデアを考えるような時間はない。では、どこでアイデアを考えているのかといえば、打ち合わせの場だった。しかも、クリエイター同士の打ち合わせではない。クライアントとの打ち合わせなのだ。打ち合わせこそが、最もクリエイティブな時間になっていたというのである。

 アイデアというと、ウンウンうなってひねり出すようなイメージがあるが、あるアーティストへの取材で目からウロコの話を聞かせてもらったことがある。芸術作品は、1人で考えて生まれるのではない、というのだ。スタッフといろんな議論を戦わせる中で、ポンと出てくるというのである。

 脳の奥底に潜んでいる情報は、自分で絞りだそうと思っても出てくるものではない。ところが、誰かとコミュニケーションをしていると、何かの一言がトリガーになって、出てくることがある。これがアイデアになるのだ。

 クリエイターの場合も同じ。打ち合わせは、ディスカッションをしながらアイデアを出す場になっていた。そしてこれが、文字通りアウトプットイメージを共有することになるのである。

 このとき、ついついやってしまうのが、細かなところに目が向かってしまうことだと彼は語っていた。いわゆるディテールに入っていってしまう。そうすると、大きな枠組みがブレていってしまうことが多いのだ。それこそ細かいところが気になり始める。しかし、この時点で重要なことは、アウトラインをしっかり捉えること。アウトプットの全体像を常に意識しておくことなのだ、と。

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